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- ブログ -
問屋の仕事場から

2024.06.27
アクセス解析からみる「問屋の仕事場から」

廣田紬のブログ「問屋の仕事場から」を通じてお問い合わせをいただき、新しいお客様との出会いとなることも増えてきました。本ブログは生産者様、販売店様をはじめとするお取引先様を始め、一般の方にも廣田紬を認知いただくのに有用なツールになっています。

2017年の6月にスタートした本ブログ(廣田紬HP)ですが、どういったページにアクセスがあるのか、どのようなキーワードで廣田紬のHPがヒットしたのか、どのような場所(都道府県、海外)からアクセスがあるのか、これらはGoogle analyticsという解析ツールで調べることができます。

WEBサイトへのアクセス解析することで需要動向を読み解き、経営判断の一助となるなど大変重要な手段の一つになります。

UA4が完全終了、ブログへのアクセスを総括

2024年6月末をもって従来のGoogle analyticsユニバーサル アナリティクス プロパティ(UA)が完全終了して、新しいGoogle analytics 4 プロパティ(GA4)に移行されます。これまでのデータが取得できなくなるということですので、データの保存ついでにアクセスを総括してみることにしました。

Google analyticsによると開設から現在までのPV(ページビュー)総計は約250万PV、延べ150万人以上の方に閲覧いただいています。そのうちなんらかのお問い合わせを1000件以上いただき、たくさんの新規取引につながりました。

Googleアナリティクスの管理画面、統計データは旧システムUA(2023年7月までの統計)

ホームページへの流入はほとんどが自然流入(検索でのヒット)、ブログの記事経由となります。ブログには500近いコンテンツがありますので何らかのキーワードにヒットして廣田紬のホームページにたどり着くという形です。

呉服分野以外のお仕事依頼も来るようになり、服地向けのお問い合わせや、建築関係の内装、デザイン、講演依頼などブログをきっかけにビジネスの視野が広がりました。

直近の1日のPV数は600〜1000となっていて、たまにNHKで染織の特集などが放映された日はアクセス数が3000を超えたりすることもあります。

過去にはコロナウイルス予防の観点から、アイスコットン襦袢をマスク生地に提案した記事へのアクセスが劇的に伸びました。コロナ禍初年度の2020年は年間の累計PVが100万を超えたこともあり、問い合わせ、注文の多さからそれらを自動化するためECページを開設せざるを得ない状況になりました。

もっともそのような特殊要因のアクセス爆増は長くは続かず、現在は落ち着いて横ばい微増の状況が続いています。

コロナ1年目の夏、マスク不足から涼しい生地を求める人からの検索が増えた。

SNSの普及やWEB検索のトレンドが動画シフトする中、市場規模や専門性を考えるとこれ以上なかなか伸びる要素は少ないでしょう。当初の工芸織物の魅力を伝えることを軸にブレない内容でブログ運営をしていきたいと思います。

 

アクセス数ランキングトップ10

ブログでは500以上のコンテンツがありますが、どのような記事が読まれているのか検証してみます。

先のマスクがらみの記事がかなり統計ノイズ(例えばアイスコットンを紹介した1記事だけで全体の18%)になりますので、今年の3ヶ月だけ抽出してみることにします。

HPトップとブログトップは必然的にアクセス数が多くなりますので除外してみると、以下のようになりました。

1位:良い大島紬の見分け方 基本編 2019.11.23 

2位:シルク製品が絶滅するかもしれないアニマルライツの台頭 2022.02.16

3位:本当に価値のある大島紬とは~マルキの定義~ 2017.09.14

4位:大島紬の組織 ~一元式とカタス式~ 2017.09.12

5位:素人でもわかる黄八丈の簡単な見分け方 2018.10.05

6位:絹糸と生糸は同じ!? まぎらわしい糸の呼び方 2021.02.18

7位:まがい物だらけの結城紬 〜本場結城紬を見抜く方法〜 2018.09.01

8位:素人でもわかる紬と絣の違い 2020.03.27

9位:素人でもできる本物の結城紬の見分け方 前編 2019.10.26

10位:結城紬に合わせるべき帯とは 2020.12.16

大島紬の詳しい解説、織物の見分け方シリーズというトレンドということでしょうか。

興味深いのが2位のシルク製品の将来的な危機についての記事、着物や紬とは無関係のラインから流入があるようです。
執筆当初はこのような考え方もあるという程度の意識でしたが予想外にアクセス数が多く、遠くない将来現実になってしまう可能性も否定できません。

蚕、シルクに対する考え方が問われている @駒ヶ根シルクミュージアム

記事のランキング順位はほとんど変化がなく、最新の2位の記事のみ急伸しています。統計の時期によっては1位になることもあり人々の関心が大変強いことがわかります。業界はシルク製品が使えなくなることを予見して新しい代替え商品づくりを真剣に検討してみてはいかがでしょうか。
これら10記事の合計は全体の10%あまりと、11位以下のその他の記事もロングテールでアクセスがあるようです。やはり記事数が多い結城紬、大島紬についてのアクセスが多く、様々な記事にキーワード検索で流入しています。

アクセスキーワードを解析

次にどのようなキーワードで検索、サイトに流入しているか確認してみます。例のごとくマスク記事のノイズがありますので直近の3ヶ月に絞ったGoogle Search Consoleの結果が以下です。

検索流入キーワードトップ10。「大島紬 売れない」と悲しいキーワードも、、、

サーチコンソールは廣田紬HPに流入してくるきっかけとなったキーワード(Google検索)を調べることのできるツールです。
「紬の見分け方」に関するキーワードが有力で、人々が手元にある紬(遺品や頂き物、中古調達品)が一体どういったものなのかという謎を検索していることがうかがい知ることができます。
トップ10ランク外ですがあとは着物(紬)の売却、引き取りに関するワードも多く、買取業者に騙されないようにある程度下調べをされているようなイメージを受けます。その逆で着物買取に慣れない業者がWEB検索して調べるケースもあるでしょう。

紬の見分け方や、証紙に関するキーワードが多い。

注目の一位はぶっちぎりで「蚕 かわいそう」というキーワード。ここでもシルク製品に対する危機感が高まっているのをうかがい知ることができます。他にも様々なキーワードで検索されていて、お客様の需要や業界のトレンドを知るまたとない材料をサーチコンソールは提供してくれます。

アクセス解析から見る次の一手は?

涼しいマスク生地の需要が急増していた頃は、トップ30くらいが全て布マスク素材に関するキーワードで埋め尽くされていましたし、それらをいち早く察知することでコロナ禍において最善の一手を取ることができました。

例えば最新で拾うことができた貴重なキーワード「蚕 かわいそう」。ブログ投稿から2年たちますがアクセスは伸びていき、人々の関心が高まっています。エシカルであるであることが購買行動を左右していますし、エシカルシルク(ピースシルク:蛾が繭の中で殺されず外に出た後に採取され、作られたシルク)を使った商品開発、脱シルクにむけた商品構成も考えなければいけません。

アクセス解析を行うことで潜在需要を察知、世の中の動きを知ることができるのはブログ運営の醍醐味です。

以上、普段触れることのない廣田紬ブログ「問屋の仕事場から」の状況を解説させていただきました。今後はGA4という新しい解析ツールに変更となりますがまた折を見てアクセス解析からみられるトレンドを紹介したいと思います。

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