商品紹介
廣田紬では結城紬、大島紬をはじめ、全国の織物を扱っております。
本項では紹介しきれない品目もございますので遠慮なくお問い合わせください。
結城紬
本場結城紬
本場結城紬は茨城県結城市、栃木県小山市を産地とする紬で俗に「結城」と呼ばれます。極上の風合いをもつ、紬の王様ともいえる最高級品です。
結城紬に使われる糸は、糸を撚らず、真綿から一本一本、手で紡ぎ出されます。これは他の紬にはない特徴で、まさに真綿を纏うような着心地の秘密です。からだ全体を使った打ち込みをする地機(ぢばた)で織りあげているため、さらに軽く風合いが増します。そして着れば着るほど生地が真綿の風合いを増してゆき、身体に馴染んでゆくのです。
工程のすべてが手作業によるもので、 決して機械では自動化できない熟練の技から作られる独特の風合いはファンの心を捉えて離しません。伝統手法を数百年守り続けてきたことから、 1956年に国の重要無形文化財に、2010年にはUNESCO無形文化遺産にも登録されました。
本場結城紬をお求めの場合は、せっかくですから地機で織られたものをお求めください。
地機と高機(たかはた)で織られたものを明確に区別するため、反物には異なる証紙が張り付けてあります。地機はからだ全体を使い、まさに機と一体となり織りこみます。渾身の打ち込み具合の妙が、風合いを一層魅力的なものにします。重要無形文化財、無形文化遺産指定を受けているのは地機で織られたもののみとなります。
高度な技術、手間を要することから、地機で織られる反物はわずか年間数百反となってしまいました。廣田紬では創業以来、一貫して地機での作成にこだわり続けてきました。最高の紬は最高の状態で提供したいという信念の表れでもあるのです。
詳しくみる- 市松×毛万格子
- 縞
- パステルカラー
- 広巾 クズシ
- 多様絣繋
- 色紙散し
- 墨地にシダ
- 色違いパステル縞
- もみじ散し
- 十字×細縞
- 墨地に葵
- 160亀甲 天の川
- 墨地濃淡縞
- 結城紬亀甲詰柄見本帳
- 結城紬図案元
大島紬
本場大島紬
本場大島紬は主に奄美大島、鹿児島市を産地とする織物です。結城紬と並び称される、高級絹織物として知られています。もともとは紬糸で織られていましたが、現代では絹糸を使うのが主流となり、裾さばきが良く、独自の風合いで着くずれしにくいのが特徴です。
大島紬の最大の魅力は世界で最も精緻な絣柄です。多いものでは何百万の絣が存在し、途方もない地道な手作業で一つ一つかすり合わせを行っていきます。そして浮き上がってくる文様の美しさはため息が出るほどの美しさとなるのです。
また、奄美大島独自の天然の泥染めは、化学染料では表現ができないしっとりとした深みを刻み、生地に格別のしなやかさを与えます。植物藍で一度染めた泥藍染め、島の植物を使った草木染め、薩摩焼由来の白薩摩の土を使った白泥染め、化学染料を使った色鮮やかな色大島、様々なこだわりの染技法も魅力ある特徴の一つです。
俗に大島といわれますが、本場大島紬は各本場大島紬組合の検査を経たものでしか称することができません。かつて、各家庭できものが着られていた時代は憧れの大島紬として誰もがこぞって求め、類似品、海外産品が横行したほどです。
大島紬は徹底した分業体制が取られ、産地一体となった生産、管理体制は他の産地を圧倒します。反物に貼られた登録商標(証紙)からは、どこの機屋で生産されたものか、動力機械織りか、手織りかどうか、絣の種類、染技法まで一目で識別でき、安心して求めることができるようになりました。
廣田紬では本場大島紬を昭和24年から取り扱いを始めて以来、常に産地と深いかかわりを持ち続けてきました。独創性の高いオリジナル柄の発表や、新しい技術に積極的に取り組んだ結果、産地組合から表彰されるまでに至りました。取り扱う大島紬は手機で織られたものにこだわっており、大島独自の風合いを大切にしてもらいたい、本当に良いものを選んでほしいという信念の現れです。
詳しくみる- 白黒のコントラストが美しい大島紬
- 白大島九マルキ一元麻型
- 泥大島麻型
- 唐花
- 変わりクズシ泥大島
- 変わりクズシ白大島
- ポップな色大島
- 雪輪紋様
- もみじ散し
- 薩摩焼の白泥を使用した白恵泥染
- 泥大島 網代模様
- 12マルキ格天井
- 100柄続き
- 泥大島蜀江繋
- 大島紬図案元
夏大島
夏大島は強撚糸を使用した薄手の大島紬です。糸を強く撚ることで細い糸を作ることができ、滑らかでコシ、張がある生地に仕上がります。涼しげな透け感は夏の装いにぴったりで、麻とは違う絹織物の質感を楽しむことができます。
廣田紬では男物としてでもそのままお使いいただける縞、格子柄をはじめ、夏向けの涼感を感じさせる様々な絣柄を展開しております。
詳しくみる- クズシ織
- 100亀甲露草模様
- 抜群の透け感
下井つむぎ
下井つむぎ
下井紬は長野県飯田市の染織家、下井伸彦氏により作られる、作家本人の名前を冠した紬です。元々はテキスタイルデザイナーとして活躍されていた下井氏、洋装の経験を生かしたモダンな感覚は従来の発想とは違う柔軟で斬新なモノづくりにつながっています。
工程ごとの分業体制が多い紬ですが、下井氏の工房では糸づくり、染、織まで一貫して制作。工房内には様々な機械、道具が揃えられ、外部の都合に左右されることない自由な発想のものづくりが可能となっています。言い換えれば妥協を許さないものづくりをしているということでもあります。
意に添う理想的な糸を紡ぎ出し、草木染を中心とした染工程は目標の色が表現できるまで、染色材料を何度も組み合わせ、様々な織技法を駆使して作られる下井紬の自由自在のものづくりは「下井マジック」とも評されています。
そして都会的で上品な質感は現代の社交シーンにも最適で、着る場所を選ばないことから密かにファンを増やしています。
受賞歴
- 日本伝統工芸士会作品展 特賞
- 全国伝統的工芸品公募展 経済産業省製造産業局長賞
- 長野県工芸展知事賞
- 長野県染織作家展 大賞
- 多色使い絵羽
- クズシ織
- 単衣着尺
- 夏下井
- 丸まなこ縞
- 工芸帯
- 丸まなこ多色使い
- 丸まなこ市松
- 夏帯
全国の織物
日本全国でつくられてきた紬をはじめとする伝統工芸織物、その成り立ちは農閑期の副業が始まりです。
いったん深い雪に閉ざされてしまうと、機織りに勝る生業はなく、人々は粛々とはた織りを続けました。
現在も東北、北陸、信州といった豪雪地帯に有力産地が集中しています。
それは先人が長い冬の間、ひたむきな想いで織り続け、絶えず技術の向上に余念がなかったからに違いありません。
置賜紬
置賜紬は、山形県の置賜地方、現在の米沢市、長井市、白鷹町を中心に生産されている、米沢紬、長井紬、白鷹紬の総称です。米沢藩主、上杉鷹山が打ち出した殖産興業で養蚕が奨励され、様々な産地から新しい技術を取り入れることになります。
北前船により南北の交流が行われ、なんと琉球の織物までが千石船に積まれ、最上川を遡上していたのです。職人も方々から集められ、独自の発展を遂げるに至りました。最新の技術を取り入れていく姿勢は今も健在で、現在では化学繊維を含む繊維製品の総合産地として知られるようになりました。
置賜紬の特徴として、草木染の優しい色合いがあげられます。この地方では江戸時代から紅花の栽培が盛んに行われていたことから、紅花が染料に用いることも多く、その暖かな色合いからは、北国に生きる人の少しでも暖かな雰囲気をという望みが伝わってきます。
昔ながらの手法で作られる100%草木染、手織り、絣柄の置賜紬は伝統的工芸品として指定を受けており、反物に貼られる証紙には米沢、長井、白鷹どこで作られたか判別する〇印が記載されています。
一方、機械織り技術が進歩した結果、量産性が向上し、値頃な商品も増えてきました。今までは自動機では表現できなかった絣模様にも対応するなど、洋装の技術も積極的に導入、小ロット多品種の商品展開を可能にしました。様々な魅力的な商品群からは求める品が必ず見つかるはずです。
詳しくみる- 米沢紬 紅花染
- 長井紬 絵羽
- 白鷹紬 綾織
越後上布/小千谷縮
越後上布は新潟県魚沼市、小千谷市を中心に生産される麻織物です。その中でも手績みの苧麻を使用して織り上げられたものは、宮古上布と並び最高級の上布として知られています。
透けるような薄さと極上の肌触りの秘密は糸にあります。原料となる苧麻は福島県の昭和村で栽培されているものです。苧麻の皮をはぎ、清水に漬け込み繊維だけにして乾燥させます。それをさらに爪で裂き、口に含みながら撚り、一本一本を繋いで糸にします。細く均一な糸を作るのは容易ではなく、相当な熟練が求められます。この苧績み(おうみ)の工程で一日に取れる量は数グラム程にしかなりません。その中でも最上ランクの糸を選んで越後上布は織られるのです。
そうしてできた極細の麻糸を染あげ、整経し、地機(ぢばた)で織ります。糸が切れやすく、生産性に勝る高機を使うことはできません。細心の注意を払うため、織る工程だけでも3ヶ月以上要する大変根気のいる作業となります。仕上げは越後ならではの雪晒しを行います。雪解けに伴う水蒸気に太陽光が反応して、オゾンが発生、漂白効果が得られるのです。通常の漂白剤では色もぬけてしまいますが、発色がかえってよくなるのが自然の力の偉大さです。
小千谷縮は越後上布の糸に撚りがかかっており、波状のシボ感が特徴です。汗をかいても肌にまとわりつかないサラサラしたえも言われぬ風合いを放ちます。
現在では紡績ラミー糸を使用、生産工程を簡略化した越後上布、小千谷ちぢみが広く出回っていますが、昔ながらの伝統を守ってきた越後上布、小千谷縮は国の重要無形文化財に指定、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
重要無形文化財の技法で作られた越後上布は後継者不足に加え、原材料入手困難から幻の布となることが憂慮されています。特に小千谷縮に至っては毎年数反しか生産されない状況で、これらは限られた問屋でしか流通しないものとなっています。
詳しくみる- 越後上布 絣
- 越後上布 藍無地
- 小千谷縮 縞着尺
草木染紬
自然染料を使った織物はたくさんありますが、純草木染紬は新潟県津南町で採集されるものに限定した紬で、染織職人、松本英利さん、文子さん夫妻によってつくられています。
名前の通り100%の草木染で、使用する材料は裏山を中心とした地元の草木です。通常、草木染と称していても、色落ち防止等で少量の化学染料を使うことも多いのですが、松本さんは一切それをしません。自然素材に徹底的にこだわり、灰汁製錬につかう稲藁さえ自分の田圃から採集する徹底ぶりには驚かされます。
草木染の優しい色使い、手織りによる縞、格子柄を中心としたシンプルなデザインはいつまでも飽きないものばかりです。通好みの草木染の色使い、これぞ紬という質感は紬を熟知した玄人であれば必ず目に留まるもので、紬本来の魅力がしっかり表現された逸品です。
詳しくみる- ボカシ格子
- 小格子
- クズシ織
塩沢紬/本塩沢
塩沢紬は新潟県中越地方で織られている絹織物です。
経糸に生糸、緯糸に紬糸を使用しており、柔らかくしゃりっとした独特の風合いが特徴です。蚊絣、亀甲絣を駆使した緻密な絣文様も魅力で、奇をてらわない色合いで多くのファンを獲得しています。
塩沢紬はよく「本塩沢」と混同されますが、別の織物となります。本塩沢は強撚糸(右撚り、左撚り)と生糸をつかった御召で、細かなシボがあり、さらりとした着心地が特徴です。
駒糸を使い、薄く織った「夏塩沢」も生産されており、夏向けの肌にまとわりつかないコシのある織物に仕上がっています。
詳しくみる- 精緻な二百亀甲雪輪絣
- 強撚糸を使った本塩沢
- 透け感あふれる夏塩沢
小千谷・十日町の織物
小千谷、十日町は日本を代表する染織の総合産地です。他産地からの技術導入も積極的で、新しい技術の習得にも余念がありません。
小千谷縮の技法を絹織物に活かしたのが小千谷紬で、木羽定規と呼ばれる独自の定規で絣つけが行われており、緻密で多彩な柄が織りなされます。
そして明石ちぢみは新潟県十日町市で作られる夏の絹縮織物です。緯糸に強撚糸を使うことで生地の感触がさらりとし、抜けるような透け感が特徴です。
矢絣をはじめとする古典柄は流れるような縦絣で、透け感も相まって最高の清涼感が伝わってきます。
詳しくみる牛首紬
牛首紬は石川県白山市白峰で生産される絹織物。玉糸由来の独自の節、強い打ち込みによる堅固な生地、縞柄を中心としたシンプルなデザインが特徴です。
名前の由来は霊峰・白山の登山口である旧牛首村からきています。平安末期に源氏の落人が織物技術を伝え、元禄年間の頃に牛首紬、白山紬として商品化されます。その艶と質感で瞬く間に世に広まりました。
カイコはまれに2頭で一個の繭(玉繭)を作ることがあり、複雑に糸が絡み合っていることから糸取が困難でした。この繭から熟練の座繰りで糸を紡ぎ出したのが玉糸で、弾力性・伸張性に優れるといった特徴があります。
この玉糸を緯糸に、生糸を経糸に使い、高機で強く織りこむことで、節が浮き上がり、コシのしっかりしたシワになりにくい生地が出来上がります。「釘抜き紬」とも称される丈夫な生地感ですが、絹織物本来の着心地の良さ、暖かさも健在です。
また、単衣の季節から楽しめる薄く織り上げた「夏牛首」や、同じ石川県産である加賀友禅染の白生地としても使われています。
詳しくみる- 多色使い縞柄
- 玉繭由来の節糸が特徴
- 薄く織り上げた夏牛首
能登上布
能登上布は石川県能登地方でつくられる麻織物です。
当地では平安時代から麻を栽培し、かつては日本最大の麻織物の生産量を誇りました。しかし需要の激減により、倒産、廃業が相次ぎ、ついには能登麻織物組合までもが解散してしまいました。今では能登上布会館と山崎仁一さんの工房のみの生産となっています。
現在の能登上布は細く丈夫な紡績ラミー麻で織られています。近江上布の技術を取り入れた櫛押捺染をはじめ、ロール捺染、丸形捺染、板締め、型紙捺染、様々な染技法で精緻な絣模様を織り出すことができます。
薄く軽く、サラリとした肌触りは盛夏に最適、夏の装いの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
詳しくみる- 蚊絣
- 縞 着尺
- 帯
信州紬
信州紬は長野内で生産されている、上田紬、飯田紬、松本紬、伊那紬、山繭紬などの総称です。産地により個性がありますが、主に草木染をつかった素朴な趣が特徴です。
信州は古くから「蚕の国」と呼ばれるほど養蚕が盛んで良質な絹産地でした。染の材料となる草木が野山のいたるところに自生しています。冬は雪深く農耕に適さない為、機織りを行います。
養蚕と自然条件が相まって信州全域が紬織物の産地として名を馳せることになったのです。
信州紬では生糸、山繭系、玉糸、真綿の手紡糸など様々な糸を使います。特に他産地にはない「山繭」を使用した天蚕糸を使用するものがあります。その糸は「繊維のダイヤモンド」ともいわれ、野生種の蚕からとれたものです。その鮮やかな緑の糸は伸度が高く、軽くてふくらみがあり、よりいっそう優美な輝きを放つのです。
そして信州紬は様々な種類の糸を使い、豊富な染料の組み合わせることで、多彩な魅力ある商品づくりに成功しています。伝統を守りつつ新しい取り組みに挑戦する染色作家も多数輩出しています。
詳しくみる- 飯田紬縞
- 伊那紬 ボカシ着尺
- 天蚕花織
丹波布
丹波布は兵庫県丹波市、青垣地域で織られる木綿平織の縞織物です。草木染による藍や黄、茶色のざっくりとした色合い、素朴な縞、格子柄が特徴です。
かつては丹波の農村で盛んに織られていましたが、大正時代に入りいつしか忘れられてしまいます。しかしその魅力が再発見され、再興されました。“手紡ぎ”“手織り”“草木染”“絹のつまみ糸”の4条件を踏まえ、国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に指定されています。
緯糸に木綿だけでなく屑繭から紡ぎ出した「つまみ糸」を織り込んであり、一部に絹を混ぜることが微妙なアクセントです。
昔ながらの素朴な縞、格子柄が多い中、廣田紬では現代感覚にあふれるオリジナルデザインを重視しています。
詳しくみる本場黄八丈
本場黄八丈は東京から約280kmの沖合にある八丈島で織られる絹織物で、俗に「黄八」と呼ばれています。
その名の由来といってもよい、イメージカラーの黄色はコブナグサという島に自生する植物で染めたもの、椎の木からは黒色、タブの木からは鳶色(茶)が取れます。地色を黒にすると、黒八丈、鳶にすると鳶八丈と呼ばれます。何度も染と乾燥を繰り返し行うことで、草木染でありながら、色あせに非常に強い堅牢度を持ちます。そして黄八丈はすべてが人の手による手織です。シンプルな配色ですが、高度な平織、綾織の技術を駆使して最高の風合いに織りあげられます。
他の織物が絣の技巧を凝らすのに躍起になっていたところ、黄八丈は潔く伝統の縞、格子柄を今日まで守り続けてきました。3色しかない基本色、柄は縞格子のみという制約に何百年も向き合ってきた結果、人々を魅了する見事な配色、織文様を生み出しました。
今日では需要に供給が追い付かず、受注生産という状態が続いています。
詳しくみる- 変わり小市松
- 鳶×黒
- 風通クズシ織
沖縄の織物
沖縄には本土に劣らないくらいの多様な織物文化が残っています。
独立した国家であった琉球王朝は450年にもわたるアジア各国との交易の中で、
多様な文化と技術を受容、個性あふれる染織文化を発展させてきました。
小さな島国でこれだけたくさんの織物がすみ分けることができたのは、
琉球王家によって 階級、身分に応じた服制が厳格に統制され、そのための技術が保護されてきたからです。
誇り高い琉球文化と風土が生み出した珠玉の数々、沖縄諸島はまさに織物の宝庫といえるのです。
久米島紬
本場久米島紬は沖縄県、久米島でつくられる素朴でしなやかな風合いを特徴とした紬です。その歴史は古く、全国の産地に多大な影響を与えたことから日本の紬織物の元祖ともいわれています。
そのしなやかさの秘密は久米島独自の「つむぎ台」でひとつひとつ手紡ぎした糸を手織りし、何百回もの砧打ちで仕上げる昔ながらの手法にあります。また一目で久米島とわかる渋い素朴な独自色(黒褐色、銀ネズ色、赤茶色、、黄色、鶯色)はすべて島に自生する植物由来のものです。
そして久米島紬の驚くべき特徴として、図案作成、糸取、染料となる植物採取、糸を括り染め、 織、仕上げまで、すべての工程を一人で行われることが挙げられます。一部ではもうほとんど日本国内で行われなくなった養蚕まで行う徹底ぶりです。
個人の熟練度が製品にそのまま反映されるため、ものづくりに妥協は許されません。恐るべきプロ意識の塊である久米島紬が紬織の元祖として他の琉球織物と一線を隔する所以です。久米島紬は琉球王朝以来その伝統を守ってきたことから2004年に国の重要無形文化財に指定されました。
廣田紬では数十年にわたり専属職人と共にものづくりをしてきました。従来の発想にとらわれない独自のデザインで久米島紬の新たな可能性を開拓し続けてまいります。
詳しくみる宮古上布
宮古上布は沖縄県宮古島で作られる、しっとりとした滑らかさ、極細の糸による軽さを特徴とした上布。国の重要無形文化財に指定され、越後上布とともに最高級の麻織物として知られています。
最高に軽く、極上の風合いの秘密は糸づくりにあります。 糸づくりは苧麻を髪の毛ほどの細さに爪で一本一本裂いていくことから始まります。そして繊維を結ぶことなく、撚り合わせて均一な糸にしていきます。着物一反分に要するのに9万本もの繊維が必要で、糸づくりだけで熟練の技で3、4カ月かかるのです。
さらに宮古上布の魅力は精緻な柄を十字絣で表現していることです。大島紬と同じ締機の技法を使い、泥藍、草木染を行います。織の工程では極細の麻糸の扱いが難しく、針で一本一本文様を合わせながら織るため、キャリア50年以上の熟達の“おばあ”でも一日に20センチほどしか織り進めることができません。
また、ロウを引いたような独自の光沢は、仕上げの砧打ちによるものです。せっかく織りあがった上布はキズが付かないように、木槌で一定のリズム、角度で2万回以上打ちつけられます。達人の技で打たれることで上布深みが増し、絹のような美しい艶が生れます。
最高の麻織物として仕上がる宮古上布は熟練の職人によって各工程が分業化されています。後継者不足が深刻な状態で、幻の布となることが憂慮されています。
詳しくみる- 精緻な十絣の着尺
- 宮古上布帯地
- 手績みが伝わる宮古織の帯
喜如嘉の芭蕉布
喜如嘉の芭蕉布は、沖縄本島の北側、大宜味村(おおぎみそん)喜如嘉(きじょか)で作られる、 糸芭蕉を原材料にした織物です。麻よりも繊維が堅いため、よりさらりとした触感が特徴で、目が粗いため風通しが抜群です。
琉球時代から日常着として広く愛用されており、どこにでも原材料である糸芭蕉が生育し、素朴な家内工業として織られていました。戦争でその歴史がいったん途絶えてしまいますが、平良敏子さんの尽力により、技法が復興され国の重要無形文化財に指定されました。
「織は全体の百分の一」といわれるほど芭蕉の糸づくりは大変で、苧麻が2か月ほどで育つのに対し、糸芭蕉は芽が出てから2~3年しないと繊維を採ることができません。
野生のものは繊維が固いため、すべて喜如嘉の工房裏の畑で栽培管理されています。芭蕉布に使える柔らかな部位は限られており、熟練の作業で20ほどの工程を経て糸にしていきます。それを琉球藍、車輪梅など天然染料で染め、高機で織りあげます。そうした大変な手間をかけて作られた芭蕉布は「蝉の羽衣」と例えられるほどのこの上ない逸品に仕上がるのです。
詳しくみる首里織
首里織は琉球王朝時代の上流階級の衣服として発展した絹織物の総称です。
織技法ごとにそれぞれの呼称がありますが、その中でも花倉織、道屯織は王侯貴族専用のものとして、首里のみで織られていました。
首里花倉織は花びらを散らしたような浮き文様を特徴とし、一見しただけでは刺繍かと見間違うほどです。複雑な織技法により、絽織と花織が市松模様に織られ、透明感と立体感を両立しています。決して派手さを主張せず、気品ある雅な鮮やかさを放ちます。
首里道屯織は表裏が経に浮いている浮織で、経糸の密度変化によりはっきりとした立体感が特徴で両面使用ができます。元々は男性向けの着物として織られていましたが、コントラストが映える文様は帯で粋を主張するのに最適です。
そのほかにも花織、綿のミンサーなど多彩な展開があります。従来、上流階級向けにデザインされている首里織、雅で洗練されたデザインはワンランク上のおしゃれ着として活躍してくれるでしょう。
詳しくみる- 首里花倉織
- 首里道屯織
- 首里花織
琉球紅型
紅型とは沖縄の伝統的染技法のことで、顔料と植物染料を駆使し、赤、黄、青、紫、緑の5色の基本色で鮮やかに染め上げたものをいいます。藍一色の濃淡で染めたものは藍型といわれます。あらゆる東洋文化が流入した琉球王朝において、紅型は様々な技術を融合して大成しました。一目で紅型とわかるコントラストが際立つ独自の鮮烈色は、隈取りと呼ばれる工程でボカシが行われ、さらなる染の立体感につながっています。
柄は自然や動植物文様が中心で、明確な四季のない琉球故に、季節感を主張する柄は少ないです。さまざまな模様が組み合わさった柄行は季節を選ばずに使うことができます。 廣田紬が提案する紅型の帯はおしゃれ着に合うよう、選り抜いたものばかりです。
詳しくみる- 玉那覇有公氏の紅型
- 藍型×能登上布
- 藍型×芭蕉布
琉球絣
琉球絣は沖縄県南風原町(はえばる)を中心につくられる多彩な絣文様を特徴とした織物です。糸は主に絹が使われ、精練糸、紬糸、駒糸、壁糸、玉糸、セリシン含有糸が使用されており、季節に応じた質感が表現できます。染技法も様々な技術の展開がされており、バリエーションに富んだ商品展開が可能になっています。 琉球絣の最大の特徴は、その600種あるとも言われる多様な絣柄です。黒潮にのって琉球王朝に伝わった絣は他産地の絣のルーツになるもので、様々な文化の流入によって多彩な絣文様が作り上げられました。
琉球絣の30以上にもわたる工程は分業制によって効率化が図られており、沖縄産織物の最大の生産量を誇っています。南風原町では浮き織組織をもつ、花のように美しい立体的な柄を特徴とした南風原花織も作られています。
詳しくみる- 代表的な燕の絣
- 透け感のある雨絣
- 南風原花織
読谷山花織
読谷山花織は沖縄県読谷村で作られる、花織を特徴とした絹織物です。花織は紋織の一種で、色糸で浮かせることで可憐で細やかな花模様を織り出すことです。織技法の性質上、布裏に遊び糸が通ってしまうため、裏地を付けて合わせにする必要があります。読谷山花織は琉球王朝のための御用布として作られており、庶民の着用は許されるものではありませんでした。先の大戦で絶滅寸前となっていましたが、地元の情熱により復活、与那嶺貞氏が重要無形文化財保持者に指定されるまでになりました。
沖縄の織物に共通する花織ですが、読谷山花織は配色、柄がより南方色寄りで、南国情緒を発散しています。3種類(銭、扇、風車)の花模様を組み合わせ、4つの織技法を駆使して織られたその柄は南国の空にちりばめたような星々のようです。
詳しくみる与那国織
与那国織は日本最西端の沖縄県与那国島で織られる織物(与那国花織、ドゥタティ、シダティ、 カガンヌプー)の総称です。使用する糸は絹、綿、麻、芭蕉布とバラエティに富んでいます。その中でも和装品向けに生産されている与那国花織は生糸を使った高級織物として知られています。
格子縞の中に小さな花文様が織り出されているのが特徴で、島に 自生する植物による草木染は優しい色合いを放ちます。裏生地に糸が渡らない両面浮花織は、単衣にすることも可能です。
詳しくみる近江の織物
滋賀県湖東地域は湿潤な気候と豊かな水源に恵まれ、古くから麻織物の産地として栄えます。
江戸時代には彦根藩の手厚い保護のもとで発展し、近江商人により全国に販売され名声を高めました。
廣田紬ではこの地域と深いかかわりを持ち、密接に連携したものづくりを行っています。
近江上布
近江上布は滋賀県湖東地域で生産される麻織物です。手もみの縮麻による細かいシボを特徴とし、絣文様は主に櫛押し捺染により行われています。
かつてはこの地域で織られる麻織物の総称でしたが、昔ながらの手法で織られ、特に上質な細い麻糸を使う近江上布は伝統的工芸品に指定され、高級麻織物として知られています。近江上布に使われる麻糸は、繊維をそのまま取り出すので糸自体の伸び縮みがなく、放熱性、吸湿性に優れています。
絣文様は経糸を櫛押し捺染、緯糸を型押し捺染で染め上げます。異なった技法の組み合わせは素朴で和らいだ絣模様につながります。
染め・織りのすべてが手作業で、一反仕上げるのに2ヶ月近くかかり、原材料の入手が困難なことや、後継者不足により生産量もごくわずかとなっています。
詳しくみる- 縞着尺
- 近江上布 帯
- 地機で織られる生平帯
秦荘紬
秦荘紬は滋賀県愛荘町(旧秦荘村)で作られる櫛押し絣を特徴とした紬です。
古くから当地では近江上布をはじめとした麻織物が発展しました。その技法を紬糸に取り入れ、戦後に生まれた絹織物で、県の伝統的工芸品の指定を受けています。
独自の櫛押し絣は、和櫛のようなヘラで直接ひとつひとつ捺染していくため、ボカシが効いた素朴な絣文様になります。その素朴さと多彩な色使いの融合で知る人ぞ知る通好みの紬として愛されています。
詳しくみる近江ちぢみ
近江ちぢみは滋賀県湖東地域で生産される麻織物です。麻のもつシャリ感と独自の凹凸形状のシボを特徴としており、夏のカジュアル着に最適です。
そのシボ形状は緯糸に撚りをかけて織り上げた生地を、熟達の職人がひとつひとつ手でもみ込む、日本で唯一の技法で作られています。
縦方向に大きく刻まれたシボのおかげで肌と生地の間に空間が生まれ、肌にまとわりつかず、汗を吸っても速く乾きます。麻独特の生地の堅さも和らぎ、その爽やかな清涼感から布団地や洋装にも幅広く展開されています。
詳しくみるアイスコットン×近江ちぢみ
近江ちぢみは綿麻の爽やかな肌触り、肌にまとわりつかないシボが特徴とする夏着尺です。昔気質な職人による『揉み込み』による加工が生地の硬さを和らげ、シャリ感と抜群の肌触りを得ることができます。それがスイス発の最先端技術とコラボレーション、21世紀の近江ちぢみが出来上がりました。
ICE COTTON(アイスコットン)は特殊紡績技術を使った接触冷感綿です。厳選された超長綿をスイス、SPOERRY社の技術により、天然繊維ではなしえなかった機能性を持たせることに成功しました。後加工ではなく、糸の構造から接触冷感を実現したオンリーワン素材です。
伝統の近江の麻と最先端のアイスコットンは年々暑さを増す日本の夏にぴったり。自然素材にこだわった優しさをお楽しみいただけます。
詳しくみる- 緯糸にアイスコットン100%を使用
- パステル縞
- 小格子
大麻絣八寸帯
大麻絣帯は大麻を使用した八寸帯です。
苧麻のような光沢はありませんが、素朴な質感とコシのある風合いを特徴とし、奇をてらわない絣模様は通好みの普段使いに最適です。
近江秦荘帯
近江秦荘帯は滋賀県愛荘町で作られる麻を使用した半巾帯です。紡績麻糸を使用することで発色がよくなりました。手織りでざっくりとした風合いに仕上がっており、シンプルな柄行の夏の単衣、浴衣などにもぴったりです。
更紗麻半巾帯
近江の麻生地をつかった更紗模様の半巾帯です。廣田紬で使用していた往年の更紗柄を、近江の麻を使いリバイバルしました。
一つの柄を異なる配色にすることで、全く違った雰囲気に仕上がっています。
麻の半巾帯はとても珍しく、浴衣、夏物に最適です。一方、透け感がないため通年でご使用いただくことも可能です。仕立て済みにつき、そのままお使いいただくことができます。
近江擬紗帯
近江擬紗帯は交織で変化織りした綿麻の八寸帯です。擬紗とはメッシュとも呼ばれ、絡み織とは異なる方法で紗を真似ています。縞格子柄のお手軽な綿麻の帯は、普段のお出かけに重宝することでしょう。
近江麻紋紗襦袢
近江麻襦袢は麻を100%使用した長襦袢です。麻は通気性と速乾性に優れ、夏襦袢として最適です。紋紗の透かし文様があり、流水を中心とした柄展開はさらに清涼感を引き立てるものとなっています。
コンニャク加工麻襦袢
コンニャク加工麻襦袢は近江の麻にコンニャク糊をコーティングした襦袢です。糸に光沢と夏物に適したシャリ感、清涼感を与えてくれます。さらに麻のチクチク感を抑える役割も果たしています。
アイスコットン襦袢
アイスコットン襦袢はスイススポエリー社の開発した接触冷感綿(アイスコットン)と近江の麻をコラボレーションさせた襦袢です。
着尺とは異なりシボ加工はしておらず、綿の優しい肌触りが伝わってきます。肌に直接触れるからこそ使っていただきたいアイスコットン、自然素材による接触冷感をお楽しみください。
羅平八寸帯
羅平帯は生平糸を羅風(厳密には羅織ではありません)に織り上げて清涼感ある表情に仕上げた夏の八寸帯です。生平とは漂白しない苧麻の手うみ糸を平織りしたものを指します。名称の羅平は、産地の近くにある菜の花畑が広がる地域名がインスピレーションとなっています。
近江その他
京都とは地理的にも近く、廣田紬では様々な場面で協業をさせていただいているのが近江産地です。受け継がれる伝統、自然素材の良さに注目し、新しい商品作りに挑戦してまいります。
その他
おしゃれ染帯
様々な生地に更紗文様を染め上げた廣田紬オリジナルのお洒落帯です。例えば生々紬は、生糸の精練過程でセリシンを取りきらずに織ったものです。麻のようなシャリ感があり、パリッとした特徴の風合いは単衣、夏物の帯に最適です。セリシンを抜かない場合、染が鈍り、渋みのある発色となってしまいます。しかし完全に抜いてしまうと帯生地としての張りが損なわれてしまいます。
使用している生地は鮮やかな発色を実現するため、セリシンの抜き具合を最適化しています。どうしても地味になりがちな紬の着物、是非色鮮やかな洒落た帯を合わせてみてください。
詳しくみる- 縞着尺
自然布
自然布は原始布、古代布とも呼ばれ、人類が太古の時代より作り用いてきた布を指します。
古来、人々は様々な身の回りの植物を採取、栽培して繊維から衣をつくっていました。
藤布、葛布、科布、紙布、楮布、大麻布、芭蕉布...
自然布は樹木の堅い皮を剥ぐところから始まり、布になるまで大変な手間を要します。
木綿、絹の伝来とともに急速に廃れましたが、その自然の美を感じさせる素朴な姿は様々な形で今日まで伝承されてきました。
原型をとどめたその質感からは、人の手によって加工されたぬくもりがそのまま伝わってきます。大量の人工生成物に囲まれた昨今、自然布を身に纏うことは、日本のこころ、自然の恵みを敬愛する粋なのです。
詳しくみる- 藤布
- 科布
- 葛布
工芸帯
控えめな柄、配色が多い紬着尺、その人のセンスを主張する帯合わせはとても大切です。
廣田紬では趣向を凝らした作家物から、素朴ながらも手織りの温かみを感じさせる品まで、紬に最適な様々な工芸帯を準備しております。おしゃれ着を専門に扱ってきた感覚はここにも生かされています。
綿の織物
廣田紬では久留米絣、伊予絣、弓浜絣といった木綿の織物も扱っております。
よりカジュアルに気軽に扱えるのが木綿の着物、帯です。綿素材は藍との相性が抜群で、美しい絣模様が映える綿織物は、粋な普段着として活躍します。
現在では綿の着物は化学染料、自動織機により大量生産され、リーズナブルな価格で流通するようになりました。その中で現在も細々とですが、昔ながらの技法で織られ続けています。自動機では表現できない絣柄からは人の手によって作られた温かみを感じることができます。
詳しくみる加工用生地
廣田紬では各種加工用生地の取り扱いも行っております。
真綿の白生地を訪問着用に染めたい、生成の生紬を帯用に染めたい、麻生地でこだわりの暖簾をつくりたい。紬地で座布団を作りたい・・・
これまで様々な織物を扱ってきた経験から、ご要望に応じた最適な生地を提案させていただきます。
せっかくのすばらしい伝統工芸織物ですから和装関係だけに限定して使うのは実にももったいない。様々な用途にテキスタイル素材として使用できれば素晴らしい。専門問屋ならではの視点で全国の産地と連携して新たな可能性を模索していきます。
詳しくみる- 真綿紬の白生地
- 紬の帯地
- 麻地を加工して暖簾に
- 様々な質感の白生地
- 結城紬を襖に
- 着尺地を座布団に
おとこの着物
廣田紬では広巾(一尺五分~一尺一寸)の男物も取り扱っており、紬着尺だけではなく夏の麻物、 フォーマルに使えるお召、角帯、袴、幅広く用意しております。男性が着物を着るだけで伊達な今日この頃ですが、無地や縞格子柄のシンプルな装いだからこそ、質感の違いが際立ちます。質感で慎ましく粋を主張する男の着物、是非本物をお求めいただきたいと思います。
- 結城紬
- 大島紬
- お召
- 近江ちぢみ×アイスコットン
- 夏大島
- 袴地