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問屋の仕事場から

2019.01.24
洋服の素材、Fabricとして伝統工芸織物を使う

自然の恵と手仕事の美しさが魅力の伝統工芸織物、着物だけではなく洋服生地や小物向けの布、更にはインテリアなどに活用できれば素晴らしいことです。流通している一般的な反物のサイズを紹介、生地としてパターンをとる際の参考にしていただけます。

※本記事は英語版ブログ:反物のサイズについてを改編したものです。

一般の被服に使われている生地の原反の幅は90cm(シングル幅)もしくは110cm(普通幅)になります。しかし日本の伝統的な布はそれらとは大きく異なるサイズで生産されています。着物に使われる原反(反物)の幅は38cm(男性向けは42cm)です。一反の長さは12.5mとなります。

これは女性用の着物一着を作ることのできる必要十分なサイズからきています。着物を作る際には0.38×12.5mの長方形の生地は8つのパーツに分かれます。着物は洋服のように複雑な裁断パターンがないため、布を余らせることのない最低限の材料から効率的に作る事ができます。

上が着物の反物、下が一般的な洋装のシングル幅の原反。

反物は8個のパーツに裁断し、組み合わせると着物になる。

洋服生地の原反の幅は最低でも90cm、長さは50mありますので、まとまった数をたくさん作ることに向いています。自動織機で高速で大面積を織り出す洋装と比較して、手織で小さな幅の着物の生地はコストの観点ではまったく勝負になりません。しかし着物の生地の場合は大量の材料を確保する必要がなく、小回りの利く対応が可能です。

大量生産される生地とは違い、一反しか織られない商品もあり希少性も付加価値になります。

 

反物は最低38cm以上の幅がある。

また、デザインパターンによっては反物の耳と呼ばれる1cmほどの部分が両端に存在します。ここは縫い代のようなもので、実際に柄として使える幅はさらに狭くなります。

反物の耳

一反の反物からシャツやスーツ、スカートやスボンを作る場合、必要なパターンに応じて型紙を当ててどの様に生地をとることができるか確認が必要です。写真は大島紬(色紙が片寄せされたデザイン)ですが着物用にデザインされているため柄のとり方が難しい商品もあります。無地、縞格子、小紋柄であればどこをとってもパターンは同じなので扱いやすいはずです。

例えば、着物用の一反からは余裕をもって一組の長袖シャツとズボンを作ることができます。

一反分の面積は4.5㎡にもなり、大抵の被服を作ることが可能。

この38cmという反物の幅ですが、カスタムオーダーすることである程度であれば幅を広げることができます。織物産地によりますが、写真のような小幅の機の最大で45cm程度が限界です。これは一般的に使われている織機の構造と筬の幅に制限があるためで、それ以上の対応をしようとすると製造設備から新しく設計しなおすか、海外製の織機などを利用する必要があります。

実際に北欧の織機を使い、120㎝幅の布を作られている伝統工芸士の方もいますが、特殊なレアケースですべての産地で対応可能とはいえません。

なお、長さについては倍の25mにする等それなりに融通がききます。

伝統工芸織物に使われる一般的な手織の織機。

独自の小幅サイズで作られる日本の伝統工芸織物ですが、コストを優先してレピア織機などの自動織機で作られることもあります。これらを使用した場合、設備に応じた任意の幅で織ることは可能ですが、本来の布の持つ良さ、手仕事の味は制限されてしまいます。

 

以上、着物に使われる反物のサイズについて説明いたしました。販売については1メートル単位の切り売りをすることは出来ず、最低販売数量は1反からとなります。独自の規格サイズになりますが、使い方次第で様々な展開が可能ですので一度お問い合わせください。

伝統工芸織物は趣味性の高い和装向けで成り立っていると言えますが、布好きは着物好きとは限りません。萎むマーケットを少しでも活性化させるには和装用途以外への展開がカギとなります。

産地を救う、伝統を守るためという大義じみた理由だけではなく長い歴史とストーリーを纏い、手仕事でつくられた布が放つ力を知ってもらいたいと思います。大量生産、大量消費に対するアンチテーゼの一つになることでしょう。

 

大島紬のドレス @大島紬フェスティバル2018