廣田紬株式会社

手績みの苧麻をつかった最高級麻織物である宮古上布、精緻な絣と藍の深い色目が特徴です。藍に染めない柄の商品も一部ありますが、全く柄のない完全な生成の商品も作ることができます。

宮古上布の生成の着尺、絣合わせなどが不要なため楽に作れると思われがちです。柄があると糸質ムラや織ムラをある程度ごまかすことができます。しかし無地の反物を織るとなるとなかなかそうはいきません。そして宮古上布の工程のほとんどは糸づくりです。絣の商品と同条件の糸で、糸づくりだけで3か月以上を要するものです。

非常に贅沢な生成の宮古上布、そのまま無地の夏着物としてお召しになると最高に粋です。正真正銘の宮古上布ではありますが、着物に仕立てると証紙を貼っておくわけにはいきません。外見だけでそれと気づく人は相当の目利きでしょう。従来の絣の商品は一目で宮古上布とわかります。何百万もする最高級織物であることがそれとなくメッセージとして伝わってしまい、好ましくないケースもあるでしょう。

その点、この生成の商品は「贅を気づかれないように纏う贅沢」ができます、まさに着道楽の極みといえるでしょう。高位の宗教関係者の法衣などに使われることもあるほどです。

漂白をして後染め加工することもできますが、このような特殊な性格の織物を白生地として扱うには相当の技術力と胆力が必要です。我々問屋としては染め上がりを見ることができず残念ですが、まさに超一流のお店でしかなしえないことでしょう。

以上、粋の極みともいえる宮古上布の生成着尺の紹介でした。

 

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