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問屋の仕事場から

2017.06.23
最高級、本場結城紬の白生地

結城紬の白生地

通常、紬は色を先に染めてから織り上げる先染めの技法で作られます。一方、糸を染めずに織られたものは「白生地」として主に加工用生地になります。紬の白生地に後染め加工をすることで、普段着の格を上げて訪問着や付下げにすることができます。

今回は本場結城紬の白生地の紹介です。

通常の結城紬は通常17算(ヨミ)経糸1360本で織るところを、こちらは18算(1440本)で織られています。長さも加工用として余裕を持たせているので3丈6尺と長くなっています。

結城紬の白生地の印

白生地は織難が目立ちやすいため、検査基準が厳しくなります。織り手は神経を使い、普段の作業に比べより集中力が求められます。そして糸の量が多い分、色無地の結城紬より高価なものになります。

そして通常の結城紬と異なるのはカ証紙に生地の印がおされています。この商品は白生地専門の機屋が作成したことが一目でわかるようにするためシャゲの部分が青色になっています。

白でエラーが見つかりやすいため、検反にも大変気を遣う。

廣田紬の本場結城紬の白生地は地機で織られており、最高級のものです。

結城紬を加工に使うメーカーは超一流の証

最盛期は月に何反も京都の染め屋さんに卸すことがあった結城の白生地、現在では年に1反出るか出ないかというところまで落ち込んでしまいました。

ただでさえ高価な結城の白生地は、失敗した時を考えると加工する職人にとっては大変なリスクを伴います。また、真綿紬の白生地を染めると染ムラが生じやすく、加工には高い技術が要求されます。このような結城の白生地を加工した品を扱う(加工する胆力がある)ことは一流のお店の証といえるでしょう。

後染め(シケ引き)された結城紬、織りでは出せない味わいがある。

最高の生地は最高の技術を惜しみなく使って加工されるはずで、最終的にどのような商品になるかわくわくしてしまいます。

結城紬の白生地を織る

経糸も100%紬糸の結城紬、平滑な絹糸を使う他産地の織物に比べ段違いの手間がかかる。

一口に結城の白生地といっても自動織機で織った結城紬調のものから高機で織った本場結城紬のもの、今回紹介の最高級の地機の商品と様々なものが存在します。市場に流通する後加工されて絵羽になっている商品はほとんどが結城紬調の生地で、地機織りの本場結城紬は皆無といってよいでしょう。

一反で500グラム代の軽さ、フワッとした最高の風合い。

最高の技術を惜しみなく使って仕上げるのに、生地がコストダウン品だと残念なことです。しかし生地コストがそれなりにのものになりますので、在庫リスクを伴わない別誂えをする際に、最高の生地としてお客様に提案いただいてもよいかと思います。

唯一無二の最高級の結城の白生地、後染めの提案をされる前に一度ご覧になっていただければ幸いです。

帯の生地

結城紬の帯の白生地(八寸帯)、紅型などの加工がされる。

結城紬の白生地の見本、昔は様々な質感のバリエーションがあった。


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