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問屋の仕事場から

2018.02.09
素材感あふれる からみ織

透け感のある帯

からみ織とは捩り(もじり)織とも呼ばれ、緯糸に経糸をねじり絡ませていく織り方です。経糸同士を捩ることで隙間ができ、風が抜けるような涼感を演出することができます。特に自然布の夏帯は素材そのものを生かした柄を作ることができ魅力が増します。

経糸と緯糸を交差させていく織物は大きく三種類(平織、綾織、繻子織の三原組織)に分類されますが、からみ織はこれらには属さない独立した第四の織り方です。そして一般的に紗、絽、羅などと呼ばれる織り方はすべてこのからみ織に分類されます。実際に商品を見ながら各特徴を解説していきます。

 

冒頭の商品は「紗」の商品、

経糸には絹糸が使われ、緯糸の一部にシナ糸が使われています。糸が太く、織の密度が粗いことから透け感があります。

生地を拡大してみます。

緯糸に使われる太いシナ糸に細い経糸(絹)が一本一本絡みついているのが分かるでしょうか。「紗」織とは緯糸一本に経糸が絡み付く織り方なのです。糸が絡み付いているため、生地にかなり隙間があってもスリップしにくい構造です。

捩り生地の表面

一つ一つ手で捩って作業していくのかと思うと大変手間のかかりそうな織技法ですが、通常の機に特殊な綜絖を加えることでリズミカルに織り進めることができます。

 

次は「絽」の商品、

半練の紬糸を使った夏用の染帯です。細かいピッチで横段になっており、透け感があるのがわかりますでしょうか。染ではなく、織で横段の模様を作り出しています。

生地を拡大してみます。

紗と同じように経糸が捩られた個所に隙間ができています。「絽」は「紗」と基本構造は同じで、奇数本の緯糸ごとに経糸同士を捩って織られます。麻で織られたものは襦袢などに使われ、絹糸で織られたものは染めや刺繍を施して夏物のフォーマル着物として使われています。

さらに拡大したのがこちら。

緯糸5本ごとに捩りが入り、隙間が形成される。捩るところ以外は平織で構成されているのがわかる。

3本ごとに捩ると3本絽、5本ごとに捩ると5本絽(この商品は5本絽)、7本ごと・・・というように呼称します。お気づきかと思いますが、1本絽とは言わずそれが「紗」なのです。

通常は横段になっているので横絽といいますが、経糸方向に作り出した経絽や、斜めにつくり出し模様を作る紋絽など様々な使われ方がされています。

 

最後は「羅」の商品、

透け感のある帯地

麻100%の透け感抜群の夏帯です。「紗」や「絽」と違い少し複雑なつくりになっています。単純に経糸を絡ませて構成されたものではありません。

捩り織になっている箇所を拡大してみると、網のように経糸と緯糸が複雑に繋がりあっています。大きくランダムに隙間が空いているように見えます。

「羅」も「紗」の発展系といえます。複数の経糸同士をまとめて捩ると経糸が少し斜めに走ります。それを「沙」と同じように緯糸を通し捩っていきます。場合によっては隣りあわない経糸を強引に手繰り寄せることもあります。

組織を拡大してみます。

絡んだ糸組織

オーソドックスなタイプの「羅」、経糸2本がまとめて捩られていることがわかる。

複数本の経糸をまとめることで、左右方向に大きな隙間があきます。網のような模様から、網目羅とも呼ばれます。絡み具合をアレンジすることで、籠目羅と呼ばれるさらに隙間の大きいものになります。「紗」や「絽」は通常の機でリズミカルに織り進めることが可能ですが、「羅」については専用の特殊機を使い、複雑な手法を駆使します。それだけ表現の範囲も広がり、芸術の域にまで達しているものもあるのです。

高度な技法で作られる羅の組織、経糸が左右に振られ模様を作り出している。

 

以上、絡み織の代表的な紗、絽、羅について実際に商品を見ながら解説しましたが、模式図を見ながら確認してみます。

絡み織の模式図

からみ織の模式図 https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024004111.jpg

現物を見ていると何がなんやら分からないものですが、この模式図をですと各特徴がうまく掴めるのではないでしょうか。

 

以上、からみ織を商品を見ながら解説してきました。透け感のある自然布の帯があればその織り方に注目してみてください。

そして自然布の帯は素材の良さをそのまま生かしたザックリ感が最大の魅力です。絣や複雑な織文様に凝るのではなく、シンプル捩り織を加えることで更に粋なモノになります。続きではそんな素晴らしい逸品を紹介します。