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問屋の仕事場から

2018.02.14
素材感あふれる からみ織(続)

からむしのもじり帯

経糸を捩って緯糸を通していくからみ織り、前回は実際の商品を見ながら紗、絽、羅の説明をしました。続いて からみ織を駆使し、素材の良さをそのままに引き出した自然布の帯を2点程紹介します。

写真の商品はカラムシの捩り細工の帯、カラムシとは苧麻のことで青苧とも呼ばれています。越後上布と同じ素材で、経糸、緯糸ともにすべて手績みの糸が使われています。

太鼓と腹の個所のみ青い色糸が使われていて更に涼感を演出しています。

そして捩り織、大きな隙間が空き、さらなる透け感となっています。紗と絽の組み合わせで構成されており、緯糸が亀甲のようにユニークに通っています。

シンプルに見える柄ですが、上品で知的なセンスが伝わってきます。上布などの薄物着尺との組み合わせは、とても軽やかで清涼感ある装いになることでしょう。

 

次に紹介するのはシナ布の八寸帯です。

織元に依頼してから織りあがるまで約半年、やっと織りあがってきた逸品です。

染糸は一本も使ず、捩り織だけによって柄付されています。

しな布の捩り帯

腹、太鼓の部分に捩り織がされています。原始的な製法によって作られるシナ糸からは自然そのものの素材感が伝わってきます。色味が変わってしまう染加工をすることなく、捩り織でアクセントをつけることで、自然素材の良さがさらに引き立ちます。

どのように捩ってあるかを拡大してみてみます。

独自の捩り方で、手の込んだ織り方であることが伝わってきます。機械では扱うことが困難なシナ糸、人の手によって一本一本作られ織り込まれています。

織り進める際には竹竿を使い経糸をまとめて上下開口、捩って緯糸を入れていく。

単なる無地の帯はあわせやすい一方、シンプルすぎてどうしても面白みに欠けます。しかしこの商品は織で立体的な表情をうまく作り出しています。絣糸を使った柄も良いですが、シナ布の本来の魅力を伝えてくれるの織柄の商品といえるでしょう。

 

以上、からみ織を駆使した粋な自然布の商品紹介でした。

素材の持つ良さを最大限に引き出す美しきからみ織、そのバリエーションも豊かで楽しい捩り方がたくさんあります。自然布の帯をお選びになる際は「織」にも注目してみてください。

 

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