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- ブログ -
問屋の仕事場から

2018.02.18
引き継がれた白恵泥、益田勇吉氏の創作大島

白大島の絵羽

今や幻の機屋となってしまった恵大島紬織物、12マルキの開発、絵羽の大島紬の開発など大島紬の発展に多大な功績を残しました。その中でも特筆すべきが「白恵泥」、白大島に泥大島のようなしなやかさを与えた特許製法です。この白恵泥を引き継ぎ、見る人をハッとさせる創作大島を作られているのが益田勇吉氏です。

益田さんは奄美大島の喜界島出身、恵さんの工房で研鑚を積み白恵泥の開発に携わります。その後、大島紬の作家として独立、「ゆたさ」のブランド名で創作大島を展開されています。

絵羽調の白大島、美しい波間のような柄が絣で表現されています。

蒔絵のような繊細な絣柄、後染めでは不可能な芸術。

波のような織模様は複雑な絣糸をうまく散らして作られている。

使われている絣糸は過去に作られた恵大島紬織物の集大成、貴重な残糸を芸術的な組み合わせで柄作りがなされています。

見逃せないのが白恵泥、この商品は特許製法で作られた白泥染めの糸が使われています。従来の白大島はしなやかさに欠けますが、薩摩焼にも使われる白泥染を施した特殊な糸を使うことによって泥大島のようなしなやかさを実現しています。

白恵泥のはいったバケツ

チョークの粉のような白恵泥、非常に細かい粒子である。

この商品の素晴らしいところは緯絣のみで唯一無二の柄表現を実現していることです。経緯絣で柄作りをするとなると、織子さんに大変な負担がかかりますが、緯絣のみですと高齢の織り子さんでも絣合わせができます。高齢化が進む産地においても小ロットで作ることができる、益田氏のアイデア商品です。

別テイストの商品、シンプルだが緯絣糸だけでつくられた濃淡が美しい。

 

そしてこちらの商品、今となっては貴重な一元絣7マルキの大島紬です。

ねじり梅の白大島

梅の花が散らしてありますが、絣締めの調整により濃淡の効いたボカシが表現されています。さらに少し色味の異なる絣色を使うことで粋なアクセントになっています。

こちらは100%白泥染めのため、白恵泥の証紙が張り付けてあります。益田さんの大島紬は本場大島紬の証紙、伝統マークはつきません。検査認証機関である本場大島紬織物協同組合を経由していない為ですが、キャリア50年以上の達人の作品に組合の検査証は不要なのです。

ゆたさ織の証紙

白恵泥の証紙、ブランド名のゆたさは喜界島方言で心地よいの意

泥大島のようなしなやかさ、シワに対する復元性をもつ

 

大島紬を知り尽くし、見る人をハッとさせてくれる益田さんの創作大島、今後の展開が楽しみです。

 

 

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