ヒンヤリとした清涼感を持つ麻ですが、その強いシャリ感が苦手と…
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問屋の仕事場から
- 2018.01.23
- 絣模様の近江ちぢみ
近江ちぢみは経糸、緯糸ともに麻100%をつかった本格的な麻織物ですが、お手頃な価格で人気を博しています。リーズナブルな理由は自動織機の導入によりコストダウンを実現したことにあります。無地、縞、格子といったシンプルな柄展開が中心になりますが絣をつかった商品もあります。
冒頭の商品は経糸、緯糸ともに絣が入った商品です。通常はこれを一つ一つ織子さんが絣合わせをして十字絣や小格子柄を作り上げるのですが、近江ちぢみは自動織機を使い織り上げられるため正確な絣合わせが困難になります。
こちらは経緯の絣をきっちりを合わせた大島紬です。大小のブロックが浮かび上がっている柄ですが、もし絣があっていなかった場合、中途半端な商品として受け入れがたいものになるでしょう。
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織子さんが一つ一つ経、緯の絣を合わせていく大島紬は織り進めるのに時間を要する。
しかしこの近江ちぢみの場合、あえて絣ズレを作ることで独創的なデザインに仕上げてあります。近江ちぢみ特有の縦に伸びる大きく深いシボによって味のある柄になっているのです。
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シボの効果で小さいブロックが散りばめられているようにも見える。
近江ちぢみの工程上の特徴はこのシボだしにあるとも言えます。
洗濯板のような独自のシボだし台を使い、堅い麻をぐいぐいと手で揉みほぐします。近江上布の仕上げと同じ工程で、伝統工芸士による手作業です。自動織機で織られていても最終的には職人の手仕事がしっかりと加わっているのです。
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大きく深い縦シボは職人の手仕事によるもの。洗濯しても不思議と復元する。
これらのシボは洗濯後、脱水して乾かすとまた元に戻ります。アイロンをかけてしまうとせっかくのシボが薄れてしまいますので、決してアイロンをかけないでください。通常の麻素材はすぐに皺がよってしまうことが問題となりますが、近江ちぢみは面倒なプレス、アイロンがけが不要なのです。
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爽やかな地の薄い色のタイプ
近江ちぢみはその手軽さから手放せない夏着物です。縞格子柄もシンプルで良いのですが、ワンランク上の粋な絣柄も加えてみてはいかがでしょうか。
※本商品は巾が1尺3分程となりますので、男物として使う場合はサイズの制約があります。