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問屋の仕事場から

2024.04.28
最高級の結城紬の帯生地(白生地)

織物問屋の廣田紬では染物の商品を扱うことはほとんどありませんが、型染めの帯だけは昔から作り続けています。

沖縄の紅型や型絵染の工芸作家さんに依頼して、染め帯を作ってもらうのです。その際にはこちらから生地を支給して染めてもらいますが、特に貴重な帯生地というケースがあります。中でも芭蕉布などの帯生地に紅型を施した逸品は染め帯の中でも最高級品として位置づけられます。

結城紬の帯生地は紬生地、絹織物の最高峰となりますから、これらに加工を施すことでこれまた唯一無二の逸品に仕上がるわけです。

今回はそんな最高峰の結城紬の帯生地を紹介していきます。

 

結城紬の九寸帯(白生地)

こちらが結城紬の九寸帯(白生地)で、地機で織られたタイプになります。帯生地は着尺のように直接肌に触れたりする部分ではありませんので、着心地や微妙な風合いは優先事項ではありません。わざわざ手間のかかる地機で織られているのが興味深いところです。

帯生地だからと言ってやたら太いわけでなく経糸、緯糸共に細い結城の手紬糸が使われています。生地がふわっとしていると染料が滲み染めにくそうですが、味わいある仕上がりにもなります。結城紬は経緯真綿の諸紬ですが、節感ができるだけ目立たないようにケバを取り除き綺麗な糸づくりをしています。表情にある程度凸凹があっても江戸小紋の細かい型を乗せることができるほどで、この九寸帯生地も繊細な加工を進めることが可能になっています。

結城紬の八寸帯(白生地)

こちらが結城紬の八寸帯の白生地、高機で織られたタイプです。帯芯を入れて仕立てないのである程度のハリ感が必要になるため、九寸帯と比較して地厚でざっくりとしています。

これが同じ結城紬?と思えないほど大変太い緯糸が使われています。ざっくりとした型絵染などの加工に向いているでしょう。

今回紹介した白生地ですが、年々生産状況が厳しくなってきて以上なほどのコストUPになっています。いよいよ生産体制の継続が危ぶまれる本場結城紬、今後生産できるもの、できないものがはっきりしてきました。今のうちに作っておかなければいけないアイテムの中に白生地(帯地)も挙げられるのです。

染め生地のブランド力を生かすことで、染め帯をさらなる高付加価値商品にすることが可能です。

廣田紬ではこれら白生地を使用して染め帯の作成を行っていますが、工芸作家様向けに生地の外販も行なっております。結城紬を始め、ほかでは流通しない上質な紬生地の取り扱いがございますのでお問い合わせください。

 

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