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問屋の仕事場から

2022.09.25
男性にこそ着てもらいたい至高のキハチブラック(黒八丈)

数ある伝統工芸織物の中のトップブランドである黄八丈、その中でも希少な黒八丈の無地着尺の紹介です。

徳川幕府御用達の歴史を持つ黄八丈、世が移ろいでも他産地と異なり安易な大量生産に舵を切ることがありませんでした。値崩れすることなく供給が追いつかない現在の地位を確立しているのもブランド戦略の賜物だと思います。

黄八丈に使われる糸、黄色、鳶(茶系)、黒(グレー)の組み合わせのみ。

黄八丈は伝統にのっとり黄色、鳶色、黒色の3色のみしか使われることがありません。様々な織技法、各色の組みあわせで様々なデザインが生まれるなか、黒系に人気があります。特に黒の無地ともなると引っ張りだこで入荷してもすぐに売り切れてしまいます。

例えばGoogle検索で、黒八丈の着尺を画像検索(期間を1年以内に限定)してみると格子や帯が多く、それらしい画像が見つかりません。ネットやECサイト上に商品が上がってこないということは運良く手に入れることのできた限られた販売店が懇意のお客さんにさっと売ってしまうということです。

ネット検索では見つけることが難しいキハチの黒

中古品ですらプレミアともいえる値付けがされていて、「キハチの黒」のリセールバリューは飛び抜けたものがあります。

じゃあ黒無地ばっかり作れば商売として正解ということになりますが、産地としてはそうは安直な流れにはならず、3色がバランスよく生産されています。

そんな希少な黒八丈ですが、粋な男性にこそオススメしたいのです。

最高に粋な黒八丈の着物

今回入荷した黒八丈は前々から頼んでおいたもので、たまたま同時期に2点もの黒八丈を拝めることになりました。

織技法の異なる2点の黒八丈、紹介していきます。

こちらは「めかご」と呼ばれる綾織の生地、静かな黒い鈍い光沢ですが、生地が何かを主張していてとても存在感があります。

黒とグレーの2色の組み合わせで複雑な綾織組織になっています。

無骨なカーボンファイバーのような組織に見えますが、実際はしなやかなシルク生地、そのギャップが良いところです。

素人目で見ても、只者ではない生地の風格が伝わります。

幅が1尺7分ほどありますので、よほどの高身長の方でない限り着物に仕立てることができます。

男着物の頂点を極めようとすれば、最高の風合いを持つ結城紬、大島紬の特殊柄なども良いのですが、生地の高級感となると黒八丈が抜き出てきます。

フォーマルにも振りやすい生地ですので、活躍の場が広がります。さりげなく黒八丈をまとった男性の着姿、おしゃれの極みで着物男子の憧れです。

もう一点はさらにシックな単色黒の「丸まなこ」タイプです。

菱のように見える「丸まなこ」が美しい地紋になっています。

化学染料を使ったマットな黒ではなく、草木染め由来の茶色に振った黒はなんとも美しい色合いです。

こちらは幅が1尺3分と男性向けには自由度がありませんが、選ぶことができるならこちらを選択したいです。先の「めかご」の商品と比べて幅が狭いにも関わらず価格は上、綾織の踏み替え工数がこちらのほうが手間がかかっているからです。

以上、たまたま同時に入荷した貴重な黒八丈の無地着尺を2点紹介させていただきました。

結城紬や大島紬に飽き足りたおしゃれ男性には、第三の選択肢としてキハチブラックを一度試してもらいたいものです。

 

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