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問屋の仕事場から

2022.10.10
宮古上布の角帯

最高級織物の宮古上布、男性向けの角帯もごく少量ですが作られています。

紺絣のイメージが強い宮古上布、近年は糸不足から着尺の流通がめっきりと減り、九寸名古屋帯を中心とする帯シリーズが数の上では主力になっています。原料である手績みの苧麻糸、生産できる量は限られていて特殊品ともいえる角帯にはなかなか糸が回ってきません。

そんな宮古上布の角帯、性格の違う2点を紹介します。

こちらの宮古上布の空色鼠の角帯、手のひらに収まる大変小さなサイズに収まっていて、ラフな夏物の上には適した大変軽快な帯です。

通常は染料には琉球藍がつかわれますが、こちらはインド藍が使われています。

非常に薄く軽いため、腰紐のような感覚に陥るほどですが、苧麻のしっかりしたコシとハリ感がありますので角帯として成立するわけです。

一見しただけでは「宮古上布」の冠は感じられませんが、手に取ってみると尊い手仕事の塊感と軽さ(150g)のギャップから、これは良いものだ納得させてくれます。

 

もう一点は幅が広く織られ、半分に折ることを前提に作られたもの。

二つ折りで生地を重ねることになりますので、よりしっかりとした締め心地を求めることができます。

宮古上布独特のフクギと藍から生み出される緑、二つ折りにすると片面が深緑の無地、片面はランダム縞になっています。

裏重の表情が異なりリバーシブルの帯としてで使うことができ、普段は濃い緑の無地を表に、気分を変えて縞を表にするのも良いです。

 

以上、普段作られることのない宮古上布の角帯、珍品中の珍品の紹介でした。

 

 

 

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