大島紬といえば誰もが精緻な絣柄の着物を思い浮かべると思います…
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問屋の仕事場から
- 2017.06.30
- 変わり絣の大島紬男物
シンプルな柄だからこそ、ちょっとしたこだわりで差が出る男物。
定番は亀甲柄の大島紬ですが、他の人とは違う逸品をという方向けに「変り絣」を使った商品を紹介します。
通常、大島紬は経絣と緯絣を組み合わせた十字絣で柄を作っていきます。今回紹介する大島紬はツガ絣、ナガ絣、チコト絣といった特殊な絣を組み合わせることで精緻で上品な柄が浮かび上がってきています。これを見てしまうと通常の亀甲絣が物足りなくなってしまうくらいです。
一反づつ組織を拡大してみてみましょう。
藍色の地糸にバランスよく細かい絣が配置されています。作り手は88歳のこの道50年以上の達人で、そしてその奥様が丁寧に織られています。専用の筬を用いており、他には決してまねのできない至宝の大島紬です。
こちらはグレー、グリーン、藍が複雑に組合さっています。色が似ているため、織るのには目を酷使するでしょう。織り手の大変な苦労が伝わってきます。この商品は絣糸づくりも含めてトータルで10カ月以上かかる非常に手間のかかったものです。
これらの変わり絣を使った大島紬は遠めに見ると一見地味に見えますが、一度手に取ると通常の亀甲絣が色褪せてしまうほど上品さを放ちます。
他とは一味も二味も違う最高の技術がつぎ込まれた大島紬は、男のこだわりをさりげなく主張してくれることでしょう。