沖縄には様々な織物がありますが、その最大の生産地が南風原町で…
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問屋の仕事場から
- 2017.08.01
- 土壁のようなシャリ感の琉球壁上布
琉球絣は様々な素材、糸質、織技法を駆使して独自の発展を遂げてきました。中でも夏物に使われる透け感を演出した織物はその独特のシャリ感からカベ上布と呼ばれています。
上布というと一般的に上等な麻生地のことをさしますが、カベ上布に使われているのは100%絹糸です。
壁糸と呼ばれる特殊な撚りをかけた糸を緯糸に使うことで。土壁を触った時のような独自のざらざらした風合いを出しています。
冒頭の商品、伝統的な絣柄が散りばめられた典型的な琉球カベ上布です。
十字絣の部分を拡大してみます。
撚りのかかった非常に細い糸で構成されているのがわかります。糸と糸の間隔が粗いですが、実は経糸は18ヨミ(1440本)で構成されているしっかりしたものです。よく見ると緯糸が太く、絡み糸であることがわかります。
壁糸と呼ばれる緯糸は、強撚の太糸と甘撚りの細糸を合わせて、太糸の撚りと逆の撚りをかけることで作り出した糸です。そうすると太糸が細糸に絡み付き、ざらざら感をもつ糸になります。
こちらがその壁糸を取り出したもの。
壁糸を緯糸に用いると独特のざらざら感をもたらし、肌にまとわりつきにくいシャリ感が得られます。駒撚糸を使う夏大島などの手法と異なる非常に繊細な凹凸は、まさに土壁を触った時のような手触りです。
カベ上布とはよく言ったもので、一度そのざらつき具合を試してみてください。そしてカベ上布は手間がかかる正真正銘の手織の伝統的工芸織物ですが、価格も大変リーズナブルなものです。気軽に使える夏のおしゃれ着物として活躍してくれるでしょう。