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問屋の仕事場から

2019.03.03
単衣、夏向きの下井紬

様々な糸使い、織技法から生まれる下井紬、単衣、夏向きのさらりとした商品も作られています。

夏の絹織物といえば夏大島夏塩沢が有名です。これらは強く撚った糸を粗く織り上げることで肌への接触面積を減らすという工夫がなされています。それらはシャリっとした独自の触感になりますが、絹本来の柔らかさが欠けてしまいます。琉球のカベ上布などは麻のような強烈なシャリ感で違和感を覚える人もいることでしょう。

下井紬の単衣、夏向きの着尺はそれらと異なるアプローチから物作りがされています。

冒頭写真の商品、さわやかな薄いブルー系統の色の横段の着尺です。

表面をクローズアップしてみますと、独自の凸凹感があるのがわかります。

さらに拡大、凸凹の正体が見えてきます。

生地にへこみがあることで、肌との接触面積を減らしている。

凸凹になっている理由は太さの異なる糸の組み合わせです。経緯ともに細い糸と太い糸が組み合わされることで、ワッフル生地のような表面の凸凹を作り出しているのです。これなら汗をかいても生地がまとわりつきにくく、さらっと快適に過ごすことができます。そして従来の夏織物のように強撚糸を使用した強いシャリ感ではなく、絹のふわっとした優しい風合いを併せ持ちます。

麻のような強いシャリ感がどうも苦手という方にはもってこいの工夫です。

別項で紹介の下井紬夏帯をのせて。

下井さんは糸を外部からそのまま買ってきて織るのではなく、糸作りから自分でされています。最適な風合いを引き出すため、工房にある撚糸機で理想の糸となるように撚り具合を調整しています。

従来とは異なるアプローチでさらっとした生地を実現した下井紬、是非その風合いを直接お確かめください。

 

 

 

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