前編では流れるような透け感の明石縮を紹介しました。どのように…
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問屋の仕事場から
- 2017.06.27
- 流れるような透け感の明石縮（商品紹介編）
抜けるような透け感が美しい明石縮、絹の光沢感も相まって高級感と爽やかさを併せ持ちます。
よろけ縞の流れるような柄の明石ちぢみ、中庭を背景に撮影してみました。
美しい模様に沿って背景が見事に透けています。透け感の秘密を組織を拡大してみていきます。
この商品は隣同士のよろけ縞が組み合わさり菱紋のような柄を作っています。通常は経糸の絣で模様を作りますが、この商品は絣糸を使わず菱模様を作ることに成功しています。
拡大してみるとわかるのですが、経糸同士の間隔を変化させ、織密度を変えることで柄を作っているのです。密度が薄いところが透けて見えるため、流れるような透け感を演出することができます。
薄い緑のラインが経糸
さらに細かく組織を拡大してみてみましょう。
緯糸には非常に大きな撚りがかかっているため、隙間が空いている個所では組織同士で支えきれず糸が踊ってしまっています。本来は好ましくない、緯糸の「おどり」部分が形状記憶に一役買っていると推察されます。無理に力を加えてしまうと「引け」が起こりますが、通常の着用では問題ないものです。
縞柄を菱紋にしつつも透け感で涼を演出する逸品、脱帽です。
さらっとした清涼感のある明石縮は着尺は勿論、塵除けのコートになどにも最適です。一口に明石縮といっても様々な種類がありますが、今回の紹介の商品はデザインセンスであか抜けている素晴らしい商品です。動力織機で作られているので価格もリーズナブルなのがうれしいところです。
夏の絹織物の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
今回紹介の商品、経糸に生成、白、鼠、薄緑、カーキと多色使いながらシンプルな美しさを作っている。
