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問屋の仕事場から

2017.06.27
200亀甲絣の塩沢紬

塩沢紬の反物

結城紬、大島紬に続く日本三大紬にも数えられることのある塩沢紬、それは結城紬の真綿の風合いと大島紬の絣の精緻さをあわせ持つからかもしれません。

塩沢紬は精緻な十字絣や亀甲絣でバリエーション豊かな模様を作り出しています。一部の特殊な商品では大島紬のような精緻な絣模様を作り出しています。200亀甲という精緻さの極みといえる製品を詳しく見ていきます。

「黒地200亀甲雪輪文様」

経糸に繊細な生糸を使用、緯糸には生糸と見間違うような節のほとんどない紬糸を使っています。これが紬糸といえるかどうか少々疑問ですが、ふわっとした紬の風合いは薄れ、どちらかというと大島紬のようなサラッとした地風です。

塩沢紬の雪輪の絣模様

亀甲が細かいため、雪輪がくっきりと浮かび上がる。

 

200亀甲とは反物の巾(約38センチ)に200個もの亀甲が並んでいるということで、一反あたり100万個もの亀甲が敷き詰められている計算になります。ここまで細かくなると細い糸を使わざるを得なく、経糸の本数は1600本以上に達します。

商品の裏には織り子さんのプロフィールが張り付けてあり、なんと織歴65年のこと。推察される年齢からすると絣合わせができるとは思えません。織元の高度な生産技術が活かされています。

 

亀甲部分を拡大してみました。

亀甲絣の組織拡大

写真では2個の亀甲が写っています。経糸1本、地糸3本の繰り返しになっていて、これは大島紬でいうカタスの7マルキの組織に相当します。これ以上細かく作ろうとすると亀甲が構成できずに微塵格子のようなものになるかもしれません。

異なる亀甲の紬(地糸が黒)を並べて比較してみました。

3種類の紬比較

左から100亀甲結城紬、160亀甲大島紬、200亀甲塩沢紬

 

160亀甲の大島でも十分に細かいのですが、200亀甲の細かさが際立ちます。節の目立つ紬糸を使えばここまで細かな亀甲はつぶれてしまいます。

遠目には無地場のように見える繊細な極小の200亀甲絣、是非一度、驚くべきその精緻さをお確かめください。

 

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