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問屋の仕事場から

2022.07.15
疋田絞文様の大島紬

様々な柄のバリエーションで私たちを楽しませてくれる大島紬、今回は疋田絞り柄の大島紬を紹介します。

京鹿の子絞りに代表される疋田絞りは、小さな菱形の粒模様が連なる絞り模様のことです。

生地を一つ一つ縛って防染、その粒が小さければ小さいほど制作に手間がかかります。総絞りのアイテムともなると10万個以上をくくる必要があり、こうなると日本国内では製作することはでません。人件費の安い海外で作業が行われますがそれでも数百万円という価格になってしまいます。

一つ一つを絞りを人による手作業で作っていると大変なコストがかかりますので、いつしか型染めで疋田模様を表現することになりました。今ではインクジェットの疋田模様が主流になり、本来の疋田絞りは珍しくなってしまいました。

 

低コストで絞り模様を演出するために生み出された型染めの疋田模様ですが、絣でそれを表現してしまったのがこちらの大島紬。

絞りのような粒、疋田模様が全面に敷き詰められている総絞り柄になります。

疋田泥染大島のタイトルにあるように、疋田絞りを意識したものです。

型染めの疋田は本来コストダウンが目的ですが、大島紬で作成するとなると話は別です。

さらにこの商品は9マルキの組織で作成、色の濃淡でいかに美しく疋田に見せる工夫がされています。

 

今後はなかなか作られないであろう大変な力作で、絞り好きでなくともその魅力に引き込まれてしまいます。

以前、竜巻絞りの大島紬を紹介いたしましたがこちらはそれに増してこだわりのある商品でした。絞りと絣はお互い防染技術を駆使して作られる布ですが、あえて絞り柄の味を追う大島紬は面白いものです。

 

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