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問屋の仕事場から

2021.10.08
粋な遊び心の結城紬角帯

最高級の織物として名高い結城紬、男性向けの角帯もごく少量ですが作られています。

結城紬の魅力は一度手にしたら忘れられない最高級の風合いです。真綿から一本一本引き出した無撚糸を経緯に100%使用したそれは、他の紬とは一線を画するものです。そんな結城紬の贅沢な角帯が織りあがってきましたので紹介します。

半巾帯のようですが折りたたんだ時のサイズが10センチ程度(二寸五分程)、半幅帯と共用というわけにはいかず角帯専用で設計されています。結城の手紬糸を数本引き揃えて、クズシ模様になるように地厚に織られています。

デザインのアクセントは深緑に一本の青いラインが入るところ。

よく見てみると、絣糸が使われていて所々白く「かすれ」て見えるのです。

青いラインが浮き上がり、帯締めのような粋なアクセントになります。

結城紬といえばそのフワッとした風合いですが、さぞ軽いのかと思いきや意外にしっかりとしています。

重さを計測してみると300グラム以上、着物の重量が5〜600g台ですから、糸量でいえば半分ほどの重量が使われていることになります。実際に地厚でしっかりしているので、しっかりと締めることができます。

貴重な結城の手紬糸をふんだんに使用した贅沢品ですが、結城紬の名に恥じない粋なデザインに仕上がっています。

せっかくの結城紬の手紬糸を帯にしてしまうのはナンセンスな気もしますが、着物には適さない糸を帯に使う、越後上布と同じ事情が見え隠れします。結城紬の着尺の生産数は減り続け、全体の生産量にしめる帯の割合は増えています。

全体の生産数が減るのはとても残念な状況ですが、今までは作る余裕のなかった角帯のバリエーションが拡充されるのは嬉しいものです。

 

以下数少ないですがバリエーション紹介。

焦げ茶に一本ライン

濃色、薄色、着物に合わせてリバーシブルで使うことができるタイプ。

締めた時に裏面が顔をのぞかせるのが粋

裏表で崩しの表情が変わる同色のシンプルデザイン


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