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問屋の仕事場から

2017.09.12
大島紬の組織 ~7マルキと9マルキの違い~

異なる密度の絣

大島紬の絣の細かさを表す「マルキ」という単位、初めて聞く人にとっては専門的な解説を受けてもなかなか理解できないと思います。今回は一般的に多く流通しており見比べる機会が多いカタスの7マルキと9マルキの違いについて視覚的に確認、解説してゆきます。

写真の白大島は実は7マルキと9マルキ(奄美方言由来でコンマルキと呼びます)が中心を境に分かれています。この商品は両方を混在させることでコントラストを演出した商品なのです。若干ですが、7マルキ(左)と比較して9マルキ(右)のほうが絣の密度が髙く、白場(地糸)が少なく見えます。

組織が見えるように拡大してみましょう。この商品は絣がカタスで構成されているので絣がTの字に見えます。

7マルキと9マルキの比較

拡大して凝視してみることで右と左で何が違うかが初めてわかります。左右とも絣の大きさ自体は同じです。同じ面積当たりの絣の数を数えてみると右(9マルキ)のほうが絣の数が多いのがわかります。縦方向、横方向ともに絣の密度が濃くなっているのです。

さらに詳しく見てみます。

絣糸の解説

写真のように、経の絣糸に対して、地糸(白糸)が間に2本入っているのが9マルキ、3本入っているのが7マルキなのです。経絣糸と経絣糸の間隔が狭いほど、絣が多くなり柄が精緻になります。9マルキのほうが7マルキより絣が多く精密な柄が描けることがわかっていただけたかと思います。

そして経絣糸が増えた分、それに対応する緯絣糸を締めないといけませんし、織り子さんが絣を作り調整する手間が増える分コストアップにつながるのです。

 

また、同じマルキ数でも絣締めの強さを調整すること同じような効果を持たせることができます。

密度(濃度)の異なる絣の比較

この大島紬、真ん中に白場を設けて左右でコントラストの違いを演出しています。前回紹介のものとどう違うかわかりますでしょうか。前回は7マルキと9マルキで組織の違いによる密度の差でした。今回紹介の商品は実は左右両方とも同じカタスの9マルキ(経絣糸1本に対して地糸2本)の組織なのです。

同じように組織を拡大してみてみましょう。

濃度の異なる絣の拡大

右のほうが密度が高く見えましたが、絣の数は同じです。何が違うかというと右はT字なのに対してL字になっています。同じ9マルキでも絣糸の織り込み方により印象が異なります。絣の見える面積自体を減らすことにより異なった視覚的効果が現れ、これを組み合わせてグラデーションなどを演出することができます。

このように組織をよく見てみないと思い違いをしてしまうことがあります。大島紬を選ぶ際にはルーペを用いてしっかりと組織を確認するようにしてください。

 

以上、隣接する7マルキと9マルキの組織を比較することで違いを解説しました。項を改めてこのマルキの定義について詳しく解説していきます。

 

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