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問屋の仕事場から

2021.04.29
夜空に星が煌めく一元絣の小千谷縮

夏着物の代表格である小千谷縮、定番の無地や縞に飽きたらワンランク上のおしゃれ十字絣を楽しんでみてはいかがでしょうか。今回は黒地に絣がポンと浮き出る十字絣の商品を紹介します。

緯糸に絣糸を使うことで伝統マークが付与される小千谷縮。

無地や縞柄の小千谷縮であれば自動織機で高速で織り上げられているため、比較的リーズナブルにお求めいただけます。今回紹介の商品は絣糸を使うことが条件の、国の伝統的工芸品に指定されているワンランク上の小千谷縮となります。

経絣糸と経絣糸の交点が浮かび上がる十字絣、隣接させた経絣糸2本、緯絣糸2本を使うことで絣を白く浮かび上がらせることができます。

大島紬でいうところの一元(ヒトモト)絣で、コストダウンを目的とするならば経絣糸は一本だけでも十字絣は作ることができます。しかし力強い絣を作る為には2×2の絣糸で十字を表現、「セコイ」手法は使わないという織元のメッセージが伝わってきます。

組織を拡大してみると、2本づつの絣糸で表現された交点は、中心部が白の「面」となっているのがわかります。

同じ小千谷縮の経絣糸が一本の商品と比較してみました。絣の長さや柄が異なるなど条件は異なりますが、力強さがまるで違います。

手前が経緯2本の絣糸を組み合わせた小千谷縮、奥はマンガン絣の小千谷縮

地色が濃いと絣の浮き出る具合は目立ちます。同じ2×2の絣糸で作成されたの白地の十字絣と比較してみても、やはり黒地にポンと浮き出る白絣が魅力的ではないでしょうか。それらは夜空に浮かぶ星のようです。

絣糸を2本隣り合わせに配置することで、織り手としては絣合わせに慎重にならざるを得ませんが、大島紬のそれとは違い、小千谷縮はそれなりにアバウト、それも絣の味として良い雰囲気を出しています。表面のシボとあいまって星がユラリと煌めいているようです。

小千谷縮の十字絣を選ぶときは、星の輝度が明るい一等星(一元絣)を選びたいものです。

 

また、絣糸が多ければ多いほど、黒地に大きな白い面を作りすことができます。

こちらは絣糸を10×10を使用した柄、大きく白い面がポツンと浮き出ています。

今は作られていない往年の備後絣など、綿の古き良き絣織物を彷彿とさせる柄に仕上がっています。

組織の拡大、経緯の密度が異なる為、白い面は縦長の長方形となる。

ここまでくるともう星とは言えませんが、絣らしさが際立つ素晴らしい小千谷縮だと思います。

以上、小千谷縮を選ぶ際は、地色から浮き出る絣の美しさにも注目してみてください。

 

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