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問屋の仕事場から

2020.11.16
大島紬を高価買取してもらうポイント

高級おしゃれ織物の代表である大島紬、買った時は高価なものでしたが思うような価格で売れないという声が多く聞かれます。

大島紬は着物好きな人の着物箪笥には必ず入っている人気アイテムです。一昔前は憧れの大島紬を一着はということで、誰しもが持っていた時代がありました。

様々な大島紬、生産量が多い分だけ柄数も豊富。

大島紬製造の全盛期には手織り、機械織りを含めて年間に100万反(奄美、鹿児島、都城の3産地合計)という数が作られていた時期がありました。更に大島紬の名前にあやかった他産地の商品、韓国産などの海外製品を含めると「大島」と名前のつくものは更に膨大な数が流通していたのです。

生産反数の推移グラフ

大島紬の生産反数の推移(手織りの奄美産地のみ)、ブログ別稿から

大変な人気商品であった大島紬、流行に乗って昭和の後半までハイペース生産が続き、日本人の世帯数を超える膨大な数が市場に流通することになりました。更に嫁入り道具の一部としておしゃれ着物も持たせるのが当たり前だった時代、男性への結納返しのアイテムとしてもたくさん作られていました。

男物の大島紬、紺系統の100亀甲が定番。

平成、令和の時代、それらのたくさんの大島紬たちは母から娘へ大切に引き継がれる、、、というわけには行かず、実家の箪笥にしまわれ続けてきました。大切な着物を処分、売りに出すのは偲びないとの想いから多くは箪笥在庫として放置されていましたが、昨今の着物買取業者の台頭、リサイクル需要の高まりから大島紬を買い取ってもらう人が増えているのです。

TVCMやチラシなどでおなじみの着物買取業者、ここ数年で一大産業に成長した。

大変高価で人気のある大島紬ですが、数千万着という膨大な箪笥在庫を背景にすると需給バランスが崩れすぎています。実際に買取依頼して査定してみても、買取不能、スズメの涙にしかならないという事例が多々あります。

総柄の多色使いの大島紬、大変な力作だが需要と供給によるリセール価格は別のお話。

買い取り業者が着物を査定する基準は、どれだけ製造に手間がかかっていて付加価値があるかではなく、中古品として再販売した時にいかに高価で売れるか、そしてすぐに買い手がつく商品かというところなのです。

絵羽の大島紬

半身の大島紬、万人受けして回転率が高い商品ではない。

どのような大島紬であれば、高価買取が期待できるのか?最新の流通の視点から大島紬を高価買取してもらう方法を解説します。

 

大島紬の買取査定が著しく下がってしまうポイント

別稿の「高価買取してもらえる着物、紬のポイント」でいくつか高価買取のポイントを解説していますが、大島紬にも当てはまります。

本ブログは「大島紬を高価買取してもらうポイント」と題しましたが、大島紬は需給バランスの悪さからリセールバリューが悪いアイテムです。

以下に一つでも当てはまる場合は万の単位の高価買取は諦めてください。

 

・取りきれない汚れ、着用ダメージがあるもの

→ 長期間に渡り沈着した汗染みや黄ばみなどの汚れは、洗っても取れないことが多く商品価値が大きく落ちます。なお、カビやシミは取り除ける可能性はありますが、擦り切れなどの物理的ダメージは直しようがありません。

大島紬のシミ

大島紬のシミ、クリーニングのプロであれば落とすことが可能なケースも。

 

・仕立て上り寸法が小さいもの

→ 日本人女性の体格向上により、ひと昔前より10センチ近く身長が伸びています。身丈が短いものは市場が限られ使い物になりません。女性の場合は「おはしょり」がありますが、着る人の身長± 5㎝ あれば良いとされています。いくら良い大島紬でもサイズが小さければ小さいほど仕立て替えの自由度が下がり、値段がつかない傾向にあります。

また、仕立てていない反物の場合、人昔の規格、幅が1尺(37㎝)以下、長さ3丈2尺(12m)以下であれば現代の規格には不適合、商品価値が大きく下がります。

 

・証紙を紛失していて出所不明なもの

→ 査定員は証紙がないと判別が困難です。仮に本物の本場大島紬でも証紙がないと再販売する際に価格が著しく落ちてしまいます。また本場大島紬の類似品、海外産品については値段はつかないケースもあります。

証紙類がないとリセール時の信頼性が担保できない。

・古い時代に作られたもの

→ シルクは経年劣化します。昭和の時代に作られた生地は、いくら状態がよくても着物としての強度を保っていないケースがあります。年代がわからなくとも生地を引っ張ってみてピリピリと裂けそうであれば着用に耐えられるものではありません。

写真は古すぎて極端だが、劣化した生地は使い物にならない。

・多色使いの大柄、奇抜な柄のもの

→ 柄にも流行はあります。自分であったら買わないであろうと思う柄は現代では通用しません。原色系の派手な色使いのものや、大柄で大胆な配置のデザインは厳しいでしょう。

様々な大島紬、小さい柄の小紋タイプが人気。

 

上記に一つでも該当する場合は、二束三文の買取額を示されても、業者さんが買い叩いている訳ではありません。潔く現金化は諦めて、着物を解いて何かに再利用されるなども一つの手かと思います。

 

これらの条件に当てはまらない本場大島紬であれば高価買取してもらえる可能性があります。

ざっくりとしたの相場感を知るにはヤフオク!などのリセール価格を参考にされると良いでしょう。


 

 

世の中には様々な大島紬がありますので、着物に詳しくない人が上記のポイントを理解した上で、買取交渉するのはなかなか困難かと思われます。様々な買取業者がありどこがオススメ?と思われるかと思います。

一定の水準でマニュアル化されてる大手業者であれば査定員による当たり外れも避けられるでしょう。参考までに大手買取業者のリンクを貼っておきます。

相見積もりを取ることで条件が改善することもありますので、複数の業者に問い合わせてみることをオススメします。

 

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流行にのって大量に生産されていた大島紬、現在も人気商品であることは変わりありません。需要に見合ったものであれば高価買取が期待できます。諦めずに一度査定に依頼されてみてはいかがでしょうか。

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