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問屋の仕事場から

2017.09.06
ただものではない紬の座布団

座布団と机

おしゃれ着物として使われる紬ですが、その卓越した風合いを生地として活かさぬ手はありません。座布団地にする試みは昔から行われている典型的な活用法でしょう。廣田紬で使われているのは紬問屋ならではのこだわりの座布団です。今回は紬生地をつかった活用事例として座布団にスポットを当ててみます。

座布団の寸法は小さな茶席判と呼ばれるもので長辺が47センチです。中綿の厚みを考慮して生地をかがっていきますので更に長さが必要となります。一般的に反物として織られている巾は一尺(約38センチ)なので、効率的に生地を使うことができません。座布団のサイズに合わせて2反分の巾から生地を使うことになります。

結城縮の座布団

こちらは本場結城紬(縮)をつかった座布団で、異なる色の無地2反を使い、ツートンカラーにしています。座布団の正面を出すために、片方の縁を継ぎ目なく仕上げてあります。中綿につかわれている真綿から結城紬の糸が引き出されていると考えると、親和性の高いごく自然な組み合わせと思うと同時にどこか不思議めいた気がします。

座布団生地の拡大

生地を拡大、異なる色の生地を継ぎ合せている。

綿薩摩の座布団こちらは綿薩摩を利用した夏向けの座布団です。極細綿の優しい手触り、さらっとした風合いが夏に最適です。2種類の生地を組み合わせて大市松のツートンカラーに仕上げました。一反分の巾で作れないための工夫ですがデザインとして映えるものになっています。

綿薩摩の座布団生地拡大

生地を拡大、継ぎ目は4枚が組み合わさったもの。

着尺向けに作られた反物を流用するとどうしてもロスが出てしまうことから、座布団専用に超広巾の真綿紬を織り、座布団としたのがこちらです。

真綿紬の座布団4色分、4枚の生地を使っているように見えますが、織で色を演出、一反分の巾で作っています。たちまち人気を博し相当な数量を販売させていただきましたが、こちらはすでに機屋が廃業してしまったため再生産ができなくなってしまいました。

生地の拡大

座布団の「へそ」の部分の拡大、継ぎ目がなく織で4色を組み合わせていることがわかる。

他にもさまざまな紬つかった座布団があります。

緑の紬座布団

真綿紬の網代織

藍色の紬座布団

藍染の真綿紬

茶色の紬座布団

男物の小格子から流用

明るい麻の座布団

麻生地(近江縮)を使った夏用座布団

エビ柄の座布団

藍染の綿織物から流用

秦荘紬の座布団

秦荘紬、服地用の広巾で作られている。

藤布の座布団

藤布の座布団、自然布は半世紀以上使われてもまだまだ現役の丈夫さ。

青い縞の座布団

唐桟縞の座布団、着尺用小巾の二種類の組み合わせ。

番外編1:丹波布のハギレを継いだ座布団 @丹波布伝承館

黄色いクッション

番外編2:黄八丈のクッション @黄八丈会館

 

以上、紬生地を中心とした座布団を紹介してきました。

昔は(今もあるかもしれませんが)一流の料亭などでは結城紬を使った座布団が使われていました。高級座布団には銘仙(生糸の平織)が多く使われていたのですが、耐久性の面ですぐに擦り切れてしまうという欠点がありました。値は張りますが洗い張りをすれば新品のように復活する結城紬を使うことは理にかなっていたのです。

大切なお客様をお迎えする座布団ですが、生地に伝統工芸織物を使うのは大変な贅沢かもしれません。しかしそのすばらしい質感から、主人の粋な人となりが伝わるのではないでしょうか。伝統工芸織物を使ったこだわりの座布団、廣田紬では伝統工芸織物を使った素材提案が可能ですのでご相談ください。

※今回掲載の座布団は来客用として使用しているためすべて非売品となります。

※現在は座布団専用生地の商品展開はしておりません。原則着尺向けの生地からの応用となります。

 

広い巾の麻生地

座布団に使うことのできる麻生地、超広巾の特殊品