結城紬にも劣らない高級織物の黄八丈、生産数が少ないこともあり…
- ブログ -
問屋の仕事場から
- 2017.08.27
- 八丈島の自然と小千谷の技術が融合した夏黄八
夏黄八は本場黄八丈に使われる草木染の染色技術と、夏の薄物を得意とする小千谷の織布技術が融合してできた織物です。新しい織物ですが、両産地の良いところを合わせてできた注目の織物です。
本場黄八丈の染めに使われるのは八丈島に自生する植物染料のみで、黄色(コブナグサ)、黒色(椎の木)、茶色(タブの木)の三色が特徴となっています。八丈島では染と織の分業体制がとられていますが、自然を相手にする難しい仕事の為、染元は西條吉広さんの工房一か所を残すのみとなってしまいました。すべての本場黄八丈の証紙には本場黄八丈の伝統工芸士(染め工程)、西條吉広さんの名前が記載されています。
夏黄八はその西條さんの工房で糸を染めてもらうところから始まります。
西條さんの工房で染め上げられた糸は小千谷に送られます。
小千谷産地には小千谷縮をはじめとする様々な夏の薄物を織る技術があります。細い強撚糸を粗い密度で織り上げることで透け感を演出することができるのです。織ムラが発生しない自動織機で織られており、均一な感覚で緯糸を打ち込むことができます。これは昔ながらの手機で織り進める八丈島の織子さんには困難な手法です。
そして強い撚糸を使用しているにも関わらず、強いシャリ感がないのも特徴です。絹由来のしっとり感は数ある織物の中でも随一と表現してもよいでしょう。夏向けの薄物はシャリ感を重視した織物が多いのですが、はやり絹の柔らかかく優しい風合いを求めたいという方にお勧めしたいのが夏黄八です。
肌触りのよさの秘密は拡大してみると判明します。糸は非常に細い糸が2本組み合わさってできた双糸が使われているのです。双糸を使うことで、同じ太さの糸より肌触りに優れ、さらに糸の強度が飛躍的に強まります。
夏黄八は自動機で織られているだけあって、値頃な商品が多いのもうれしいところです。本場黄八丈染を夏きものとして手軽に楽しむことができるのができるのです。
新しい夏の装いとして検討してみてはいかがでしょうか。