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問屋の仕事場から

2017.06.29
小千谷縮の種類(前編)

反物の桐箱

小千谷縮は緯糸に強撚糸を使った麻織物です。
表面にシボがあることが特徴で、本来の麻のシャリ感に加え、さらなる清涼感を得ることができます。そしてそのシボはシワになりやすい麻の性質をうまくカバーしてくれます。吸水、発散性の良い麻素材、独自のシボで汗がべたつかず、日本の暑い夏に最適です。汚れに強く、家庭でも気軽に洗濯ができることから取り扱いも容易で盛夏の普段着として広く親しまれてきました。
しかし一口に小千谷縮といっても様々な種類があり、価格も大きく異なります。
今回は材料、製造工程から3種類に分類、その違いについて詳しく見てゆきます。

商品A

重文の小千谷縮の反物
Aは昔ながらの技術そのままで作られた小千谷縮です。
その技法は1955年に国の重要無形文化財指定(染織第1号)、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

その条件として以下の5点が指定されています。

  1. すべて苧麻を手うみした糸を使用すること。
  2. 絣模様を付ける場合は、手くびりによること。
  3. いざり機(地機)で織ること。
  4. しぼとりをする場合は、湯もみ、足踏みによること。
  5. さらしは、雪晒しによること。

条件1の手績みの苧麻糸を製造するのには大変な手間がかかり、糸づくりだけで1年を要します。条件3についても高機に比べて数倍の手間がかかり、数か月にもわたる工程です。いずれも人件費の塊として商品価格に反映されるため、数百万円にもなってしまいます。手間だけではなく材料の確保、熟練技術の維持も必要で製造は極めて困難なものとなっています。Aは一反製造するのに2年ほどかかるため、現在ではほとんど流通することがないものです。今年織りあがった小千谷縮はたったの3反、店頭で見つけるのはまず不可能といってもいいでしょう。

商品B

小千谷縮の伝統マーク品
そこで条件を緩和して作られたのがBです。
Aの条件1、3を以下の通り緩和したもので、通産省の伝統的工芸品に指定されています。

1.すべて苧麻を手績みした糸 ⇒ 紡績糸

3.いざり機 ⇒ 手織(高機 or 半自動機)

紡績糸は機械により生産された紡績ラミー糸のことを指します。これらは東南アジアや中国からの輸入品で、安定した品質と量を調達することができます。
この紡績ラミー糸は手績みと比較して均質で、さらに高機を使うことでより効率よく織り進めることできます。
伝産品ついては原則手織りでその風合いが十分に伝わってきます。

商品C

小千谷縮の廉価品

Bの工程をさらに簡略化したものがCで、
工程3が自動織機で織られ、4が手もみに、5は省略されています。
自動織機で作るため複雑な絣柄の展開は困難で、シンプルな柄展開となります。
値頃品として多く流通しているのがこの手の商品です。

上記のとおりA,B,Cの3種類の小千谷縮を解説してきました。今回は比較しやすいように3段階のランクに分けていますが、一部に手績み苧麻を使用して風合いを増したものや、糸の細の違い、半自動力織機で織られたものなど、さらに細分化することができます。

材料と織り方を一覧にすると以下の通りとなります。価格は当然ABCの順となり、最高級品であるAは普及品であるCのなんと100倍以上もの価格差となります。

小千谷縮の一覧表

価格の違いは実際の風合いの違いに反映されているのか、後編では実際に各商品の特徴を詳しく解説してゆきます。

 

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