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問屋の仕事場から

2023.03.16
貴重な男物の琉球絣 

男物にも使える広幅の珍しい琉球絣が入荷しましたので紹介します。

先日沖縄旅行で琉球の織物に感銘を受けた男性の方から「沖縄の織物、特に琉球絣の男物はないか」と問い合わせをいただきました。

確かに沖縄の織物で男性向けに作られたものはほとんど見ることがなく、一部の久米島紬くらいでしょうか。

着物のマーケットは女性に向いていますから、男性向けの着物は一部の産地に偏り、専業メーカーによって成り立っています。わざわざ在庫リスクを冒して男性向けの商品づくりをするメーカーは希少な存在です。

そんな中でも「男物の琉球絣」となってはまず見かけることがありません。

琉球絣の着尺地、男物には適さない柄が多い。

伝統的工芸品に指定されてる琉球絣は、その条件として絣糸を使うことが指定されています。男物は無地、縞、格子が基本ですから絣糸を使う琉球絣で男物を作ろうとすると条件的に不利です。

するとシンプルな雨絣か小絣系統から男性向きでも使える柄を探そうとなるわけですが、たちまち反物幅が足りず男性向けに使えないものばかりとなります。

そんな中、今回紹介するのは大胆な格子のような十字絣の柄です。

反物幅は1尺7分、40センチ以上ありますのでよほど高身長の方でない限り、着物に仕立てることができます。

こちらの格子にも見える絣の粋な柄、十字絣(経緯二本づつの組み合わせ)は草木染め(カテキュー)で染められ、味のあるかすれ具合が良いグラデーションになっています。

実はこの商品、100%絹で作られていますが麻のようなシャリ感を持ちます。強烈なシャリ感を演出するカベ上布とも違い、いわゆる生紬と呼ばれるタイプの生地で、すこし芯のある硬さを残しています。 絹素材ですので夏の着用をオススメするわけにはいきませんが、サラッとした良い塩梅の生地に仕上がっています。

琉球絣でありながら大変希少な男物は大城廣四郎織物工房の制作品。

今回の商品は男女兼用でいけるように作られたのでしょうけど、是非粋な男性にお召しいただきたいものです。

琉球絣でも男物でお使いいただけることを知っていただければ幸いです。

 

 

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