男性の着物は同じような色柄が多く、その質感で大きな差がつきま…
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問屋の仕事場から
- 2020.08.23
- 絶滅危惧種の結城縮男物
結城紬全体の数パーセントしか作られなくなった結城紬の縮織り(結城縮)、中でも男物になるとその数はさらに限られたものになります。
以前、男物の結城紬の項で様々な男物の結城紬を紹介いたしました。男物ともなると、気骨ある男物専門店に陳列されているケースがほとんどで、呉服専門店であっても在庫のあるケースはまれでしょう。そして無地や縞、あじろ、亀甲といった定番柄が中心です。撚り糸を用いたさらっとした風合いの結城縮に至っては市場で見つけるのは至難の業となります。
さらに柄のある商品については皆無といってよく、稀に歌舞いて女性物の絣柄を着る方もおられますが、どうしてもサイズの制約が生まれてしまいます。
一尺五分の反物幅があれば、日本人男性の9割以上が着物に仕立てることが可能ですが、今回はそんな男物を前提に作られた結城縮の粋な商品を紹介します。
織りあがってきたのは変わり格子の結城縮男物、
せっかく希少な男物を作るなら単なる格子柄ではなく、メリハリの効いた変わり格子。黒地にブルーの光る斬新なデザインです。
遠目に見ると結城紬(保守的な)のデザインには見えないのがミソです。特徴的な格子柄ではありますが、日常着として飽きがこないようなデザインにまとまっています。
他とは一線を画す織物の王様、結城紬の生産量はごく少数となってしまいました。その中でも更に希少な結城縮、そして幅(一尺五分以上)のある男物となれば絶滅危惧種とも言えます。このような特殊品はそれだけニーズが限られるということですが、粋な男性はいつの世にも必ずいらっしゃるものです。
廣田紬では飽くなきお洒落心を持ち続ける方の為、これからも結城縮を作り続けて参ります。