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問屋の仕事場から

2019.12.26
着物箪笥から紙魚(シミ)が出てきたら 

年末の大掃除、廣田紬でも社員総出で2日がかりで行われます。大小様々な建具を外して戸棚、襖の奥までキレイに清掃します。その中で数十年日の目を見ていないであろう資料等も移動させるのですが、興味深い事実を発見しました。

廣田紬では内装をはじめ、様々なところに紬の壁紙が使われています。

紬地の表装

久米島紬が使われた額装。

補修用に部材のストックもしているのですが、数十年という歳月を経て虫による食害が発生、大小の穴がいくつも開いてしまいました。

久米島紬を表生地に使った額装部材、生地に和紙を裏打ちしてから使われますが、穴が開いているのは和紙の部分だけです。

犯人はこの虫、古本の隙間やらから走り出てきたのを見たことがないでしょうか。銀色の鱗粉を纏っていることも多く、英語ではシルバーフィッシュという名称がつけられています。

魚のように動く紙魚、

この虫、紙魚(シミ)と書きますが日本中どこにでもいる体長10㎜ほどの小さな虫です。デンプン質が大好物で、額装や表装の糊がターゲットにされ紙ごと食べてしまいます。ウールや絹といった繊維も食べますが、他に食べるものがある場合のみ加害するようです。

さて今回の額装、裏側をみてみます。

食い荒らされた表装の裏張り、茶色い箇所はカビによるシミ。

見事に食い荒らされていますが、和紙の部分のみが食べられて、紬(絹)の部分には穴などのダメージがないようです。組織を拡大して見ます。

見事に表面の和紙だけが食べられているのがわかります。有機物であれば大抵のものを食してしまう紙魚、しかし糊が付いた和紙が大好きなようで、優先順位をしっかり守って食べていきます。密閉空間で和紙を食べつくし、それでも他に食料がなくなって初めて絹に関心を示すのでしょう。

お正月には久しぶりに着物を着る方も多いかと思います。久しぶりに開けた箪笥の奥から、紙魚が這い出てきたからといって着物の食害を気にする必要はなさそうです。

※あくまでも弊社内での一事例ですので、100%絹が食害される保証をする類ではありません。