絹繊維の加工品を総称して「絹、シルク、Silk」といいます。…
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問屋の仕事場から
- 2018.08.25
- 結城紬の紅型染帯
最高級の紬織物である結城紬は自他ともに認める紬の王様です。真綿から直接ズリ出した無撚糸で織られたその生地はフワッと軽く最高の風合いの着物になりますが、着尺だけでなく帯も作られています。
結城紬の特徴はその風合いにありますが、帯は肌に直接触れることがありません。そして帯芯を入れて仕立てたり、後染め加工をしてしまえば風合いもそれなりに変わってしまいます。着尺一反分の糸代が10万円とも言われますが、貴重な結城の手つむぎ糸を帯に使ってしまうのはとても贅沢なものです。
そんな結城紬の帯、さっそくどのようなものか見ていきましょう。
冒頭の写真、八寸名古屋帯の白生地に紅型で加工したものです。
八寸帯は帯芯を入れずそのまま仕立てますので、生地にある程度の厚み、コシが求められます。結城紬の八寸帯も例外ではなく、通常の糸の数倍はあろうかという太さで織られています。さすがに地機で織るメリットが見いだせずこの商品は高機で織られています。
手に取ってみると見た目以上に軽く、実際に同等の厚みのある他産地の真綿の帯と比較してみると2~3割程軽量でした。真綿紬の帯はどうしても重くなりがちですが、これならば気軽に締めれそうです。手触りもやはりフワッとしていて結城紬ならではの無撚糸を使った風合いを楽しむことができます。生地自体が高価なものですので、それ相応の染(城間栄順氏の紅型)が施されており大変な贅沢品に仕上がっています。
こちらは染下となった結城紬の八寸帯向けの白生地、帯に適した肉厚、固さがあります。
結城紬といえば真綿から細い糸をズリ出すのですが、最近では均一で細い糸がなかなか取れなくなってきました。それらを着尺向けに使うと節が目立って表面がガサついたり、検査でNG判定される危険性がありますが、それらを帯向けの太さに引きそろえて緯糸を作ります。
それらは決して粗野な糸ではなく、着尺に適さないだけで立派な結城の手紬糸です。そして検査組合の厳しい検査を受けた生地は最高級の帯地になるのです。
結城紬の白生地は廣田紬が選んだそれ相応にふさわしい染元に加工出しが行われますが、生地単体での販売もしております。お店で任意のデザインに染めていただくことも可能ですし、弊社で過去に染出しをした紅型などの見本帳から選んで染出しすることも可能です。
生地が生地だけに染め職人もおのずと力が入ります。その染め上りは結城紬のレッテルに恥じないすばらしい逸品となることでしょう。