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問屋の仕事場から

2023.03.22
近い将来、結城紬の年間生産数は100反割れへ・・・

今年度の結城紬の生産数は500反を割り込むことが確実視されています。このままのペースで生産減が進めば、10年後には100反を割り込んでしまう事態が訪れます。

昨年の着尺の生産数が550反程度、今年度はまだ3月の統計がまだですが実に25%以上の減となり、500反を大きく割り込み、400反あまりという状況です。いつの間にか黄八丈レベルの生産数になってしまいました。

平成28年と少々古いデータですが下記はピークから生産数(検査数ベース)の推移を表したグラフです。

※栃木県工業振興課の資料より

本場結城紬の生産数、統計は帯も混ざってきていますから、正確な単位は反ではない。

ピーク時は3万反と言いますから、いかに規模が縮んでしまったかがわかります。すでに産業としては成り立たず、高齢化もあいまって従事者確保の目処がついていません。

400反程度という数量はかつて存在した銀座名店「紬屋吉平」さんで年間に販売していた数量より少ないのです。ピーク時で特殊なケースですがたった1店舗の小売店の販売数より少ないという状態は大変寂しいものです。現在では地方の一番店が年間に一度も扱う機会がないというレベルに落ち込んでしまいました。

仮に毎年15%程度(楽観視した数字)で生産数量が減り続けると仮定すれば、10年で100反を割り込みます。さらに20年後には20反を割り込んで、それこそ幻の布となり、現在の越後上布のようにシンプルな縞柄が数百万円という時代がやってくるでしょう。量は質を生みますから、品質が維持されているとも思えません。

10年といえばかなり近い将来で、まさにすぐそこにある危機といえます。廣田紬の創業ルーツである商材が消滅するのは大変なことですが、時代の流れには抗えないのでしょうか。

着物好きの憧れの結城紬、いつかは結城、、とは言ってられない時代がすぐそこにきています。

この場で品薄感を煽り、需要を少しでも喚起させていただければと思います。

 

※ふるさと納税は直接産地に還元が可能

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