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問屋の仕事場から

2022.11.28
浴衣気分で着ていただきたい与那国ドゥタティ

与那国織の中でも、地元の人々の着用品として使われているのが与那国ドゥタティです。

青、黒、白のおなじみのギンガムチェック柄(ゴバン:碁盤)がベースです。稀に柄にアレンジが入りますが色は必ず指定の3色になっていて、黄八丈のように例外を認めない強いこだわりが感じられます。

与那国織に使われる格子模様、絣も併用されることがあった。

今回紹介の与那国ドゥタティは綿と麻の交織で、緯糸の一部に麻が使われています。昔は苧麻で作られていましたが、現在は紡績の麻と綿を使うようになりました。

組織を拡大してみると、経糸(綿)が2本ごとに隙間が開いていて、風通しの良い織物であることがわかります。

この商品は緯糸の密度の高いが、昔は経糸の密度の方が高かったようである。

綿麻織物らしく程よいコシの残る生地にしあがっていて、まさに普段着に適した生地です。

日本の最西端に位置する与那国島は、島独自の伝統文化が色濃く残っています。昔は日本各地のどこの集落も行なっていた神に祈る祭事(無病息災、子孫繁栄、五穀豊穣、大漁祈願など)が受け継がれて盛んに行われています。

なんとその数は年間に約30!! 地域の結びつきの薄い都会の人からすれば「よくそんな面倒なことをやっていられるな」と言われそうです。月に2、3回は行われる祭事にはドゥタティをはじめとした伝統衣装が着用されます。

日本の最西端、台湾を望むこともできる。

唯一の自治体である与那国町の人口は1700人ほど、皆が祭りに参加してドゥタティを着用するわけではありませんが、その着用頻度は多く、一定の需要がつづきます。その「おこぼれ」として、稀に分けていただける希少なドゥタティ、どのようにして着用すべきでしょうか。

多くの琉球の織物が本土の和装需要に合わせて、デザインなどが着物ナイズされてきたのに対し、与那国ドゥタティはそのまんまです。固定化された3色のギンガムチェックは着物にして洒落込むにはナンセンスな気がします。

さらにこの反物は幅が1尺8分と、相当な生地幅がありますので大柄な男性向けにもお使いいただくことができます。ぜひ男性に地元のお祭りの作業着として甚平風浴衣で着てもらいたいものです。

女性用の着物1着をつくるのには1反(12.5m程度)必要ですが、袖丈が短く、「おはしょり」や「おくみ」も不要な「本場」の与那国ドゥタティなら2着作ることができます。綿織物としては高額ですが、実はスペアでもう一着取ることができるというお買い得商品なのです。

用の美を感じさせ る与那国ドゥタティ、本土の祭りで粋に着こなしてみたいものです。

 

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