紅花紬といえば山形県の県花である紅花を染料に使い織り上げられ…
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問屋の仕事場から
- 2017.09.28
- 煌めく置賜の手綾織
紬が嗜好品として世の中に広まると、綾織などの新しい表現で付加価値を見出すようになりました。代表的なのが黄八丈で、シンプルな柄、限られた色の制約が有るにも関わらず綾織を駆使した織表現で人々を魅了しています。山形産地でも様々な商品が綾織で作られており、黄八丈の半値以下という魅力的なプライスになっています。今回はその山形産地の手綾織を綾織の特徴と共に紹介していきます。
平織は1本の経糸が1本の緯糸と交互に織り合わさった組織です。複雑な織技法を必要とせず、丈夫なことから紬(野良着)に適した織技法でした。組織がまんべんなくフラットなため擦れのダメージは経糸、緯糸の各組織にほぼ均等に与えられます。
一方、綾織は経糸が複数の緯糸をまたぐことから、糸が一部浮いた状態となります。糸が浮いているので引っかかりやすい、そこにダメージが集中し擦り切れやすくなってしまいます。生糸を使った織物だとさらに注意が必要です。しかし従来の紬がとりわけ丈夫なだけで通常に使用する分にはあまり気にしなくて良いでしょう。綾織にはそれを補うメリットがたくさんあります。
まず、生地にふくらみがあり、ふんわりとした風合いを得ることができます。
また伸縮性に富み、シワがよりにくい性質があります。座ったりすることの多いシーンではシワになりにくい性質は重宝されます。シワになっても復元力が高くメンテナンス性に優れています。
そして最大の特徴はその光沢です。組織がフラットな平織と比較して複雑に織り込まれた綾織は光を反射する光を反射する面が大きく、光の反射にメリハリを作ります。
組織を拡大してみてみます。
表面に出ている糸の面積が異なります。経糸2本と緯糸2本が交差している部分が特に大きく反射面を作ります。そして生糸を用いて高密度で織り込まれていますので上品な光沢感を生み出しているのです。生地を動かすと、組織ごとに美しい反射光が煌めきます。普段着ではない上等なおしゃれ着として活躍してくれるでしょう。
綾織の解説はこのあたりで切り上げて商品をざっと見ていきます。
市松崩しのデザインで有名な黄八丈めゆ工房の商品と似たデザインで、その風合いも遜色ありません。柄、カラーバリエーションが豊富で価格もリーズナブルとなれば非常にお買い得といえるのではないでしょうか。上品な煌めきを放つ置賜の手綾織、その魅力をお確かめください。