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問屋の仕事場から

2021.01.17
もう作られることのない紋紗の本麻襦袢

流水や唐草などの柄を紋織りで表現した紋紗の本麻襦袢、メーカーから製造終了のアナウンスがきました。

夏用の襦袢に欠かせない麻襦袢、無地をはじめ様々な意匠の商品展開がなされてきました。紋紗の商品もそのひとつ、麻織物の産地である小千谷でも作られていましたが製造を終了してから久しく、現在はシンプルな絽のタイプのみの生産です。

もう一つの麻織物の産地である近江産地においても紋紗の麻襦袢(経緯麻100%使用)が生産されてきましたが、ここにきてメーカーが製造終了、今後の生産はしない旨のアナウンスがありました。

背景が透ける紋紗の麻襦袢。

捩り織りの一種である紗を発展させた紋紗、これを手織りすることはとても現実的ではありません。この紋紗の麻襦袢はジャガード織機で製造されていて、製造にはある程度のロット数量が必要です。萎む和装需要の中で採算の取れない商品を製造し続けるわけにはいきません。残念ですが致し方ないことです。

組織を捩って隙間を作ることで、任意の柄を作り出す紋紗。

柄の部分の組織拡大。手で作業するのは極めて困難。

今までは当たり前のようにあった紋紗の麻襦袢、希少な素材が使われているわけでもなく、画期的な技術で作られているわけでもありません。今では化学繊維で作られた紋紗の商品が台頭しています。

様々な呉服のアイテムのなかで、麻の夏襦袢は目立たない日陰の存在です。欲しいなと思った頃に、また古き良き時代のアイテムが姿を消している時代になってしまいました。廣田紬では製造終了のアナウンスを受けて、こだわりのお客様のため、先々の需要数年分をストックすることにしました。

以下複数の柄がありますので在庫はお問い合わせいただければ幸いです。

 

 

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