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問屋の仕事場から

2020.07.02
涼しいマスク考察 〜廣田紬の夏のおしゃれマスク紹介〜

コロナ禍の中、夏本番がやってきましたが、もはや通常の不織布のマスク、ガーゼマスクをつけるのは大変苦しいものがあります。各社から夏マスク、蒸れないマスクが登場していますが、様々な生地を扱ってきた視点から理想の涼しいマスクとは何かを考察してみました。

 

快適性と防疫性はトレードオフ

生地として一番涼しいものは風の抜けが良い、織り目の粗い生地です。それらは透け感も抜群で、いかにも涼しそうな生地です。もっとも目が粗いのが絽や紗の襦袢生地になります。

麻の紋紗の襦袢生地、背景が透けてよくわかる。

実際にを口元に当ててみると、何もつけていないような呼吸のしやすさです。飛沫拡散を低減するという意味でのマスク機能は果たします。

また、ウイルスからの有効な防御を目的にするのであれば、不織布で作られたN95規格のマスクが必要となります。口、鼻全体を覆う立体成型されたカップを強力なゴムバンドで隙間なく埋めるスタイルになります。さらに使用するごとに新しいものに取り替える必要があります。

先のSARS騒ぎの際に廣田紬でストックしてある3M社製のN95マスク。

この手のマスクは防疫性能は非常に優れていますが、通気性が極端に悪く、激しい動きをすれば場合によっては呼吸困難に繋がることもあります。また高温多湿な環境においては汗で蒸れて不快極まりない状態になってしまいます。

さらに現在N95規格のマスク自体は米国が輸出を制限していますし、私たちは機能の劣るサージカルマスクで身を守る他ありません。

政府が全世帯に配布したいわゆるアベノマスク、防疫性能は限定的。

防疫性能と快適性(通気性)はトレードオフの関係にあります。極論すれば以下の2通りに分類できるのではないでしょうか。

1、コストに糸目をつけず、可能な限り限り防疫性能の高いマスク(N95規格に準ずるマスク)でウイルスをシャットアウトしたい

2、ウイルスに罹患する可能性はあるが、快適さやオシャレ感を優先したい

 

1の対象は政府、行政のキーパーソン、医療従事者、コロナウイルスに罹患すると命の危険に関わる人です。しかし大多数の人は2のはずで、内外を問わず精神的な安定(気休め)、「思いやりマスク」として着用していると思われるのです。

組紐産地で販売されているマスク、空気の抜けは抜群であることが予想される。

 

熱中症にならない快適マスクとは

多くの人が経験してこなかった真夏の炎天下でのマスク着用、熱中症を懸念する声が各方面から上がっています。厚労省も野外でソーシャルディスタンス(2m)がとれる場合にはマスクを外すことを推奨しています。しかし真面目な日本人、遠慮して着用を続ける人も多いのが事実です。

夏場にも関わらずマスク着用をせざるを得ない場面で、廣田紬が提案するマスクは通気性に富み、吸湿、速乾性に優れた素材を使ったマスクです。

まずはアイスコットン襦袢生地を使ったマスク、こちらは裏表にアイスコットン襦袢生地(白)を使用したマスクとなります。

接触冷感素材でありながら、100%天然素材のアイスコットン襦袢生地、軽やかなコットン由来の優しい肌触りはアレルギーなど肌荒れが気になる方にもオススメです。元が襦袢生地ですので、通気性もよくダブルガーゼにすることで透け感を無くしています。

このマスクは和裁士さんが作成したスペシャルモデル、鼻に当たる箇所を縫わずに2枚の布で立体マスクを作成しています。

そして、こちらは裏生地にアイスコットン襦袢生地(グレー)を使用した例です。

表面には防疫性の高い(抗菌性のある織り密度の高い生地)素材を使用して、肌に当たる裏面に天然素材の冷感素材であるアイスコットンを使用したものです。通気性は表生地に依存しますが、口元への肌当たりは大変優しくヒンヤリ感があると好評です。

そして柄のあるアイスコットン着物生地からもオシャレマスクを作ることができます。

こちらはあじろ模様の大市松柄の反物から作成した裏表ツートンカラーのマスク、アイスコットンの着物生地は生地を揉み込んで表面にシボを形成する「近江ちぢみ」です。生地と肌が触れる接触面積を低減していて、肌に生地が纏わりつきにくく、よりサラリとした生地感になります。

NHKで紹介された夏の和風マスク、アイスコットンの着物生地を裏表に使用。

大変な人気でしたが、反物から取れる個数に限りがあり(1反から28個分しか取れず、コスト面でも大変非効率)すでに完売状態となってしまいました。他にも様々な柄のアイスコットンの着物生地がありますので、引き続き作成してまいります。

流行りの黒マスクを粋な縞柄で作成。廣田紬独自の一味違った和のテイストを加味。

 

真打は麻100%素材のマスク

大変優れた接触冷感素材のアイスコットンですが、吸湿性、速乾性に関しては麻(苧麻:ラミー)がやはり最高の素材といえます。汗をいち早く吸い取り、発散させる特性はバクテリアの増殖も防ぎ、抗菌性にも大変優れた効果を発揮します。

しかし麻のゴワゴワ感がちょっと、麻はシワが気になるという方も多いかもしれません。

 

そんな弱点を克服したのがこのマスク、

表地に採用しているのは、近江ちぢみの爽やかデザインの生地、元からちぢみ加工(縦にシボ加工)がされているので縦方向のシワは自然なものです。横方向にも霞のようなデザインになっているので細かなシワも目立ちません。まさにアイロンフリーといえる素晴らしい生地です。

そして裏面、

裏生地にはファンデーションなどのあとが目立ちにくいベージュカラーを採用。

裏生地はコンニャク糊がコーティングされた麻の襦袢生地、麻のチクチク感を抑えるとともに、更にひんやり接触冷感具合を増しています。接触冷感具合の値を定量的に計測したQ-MAX値は驚きの0.4!(アイスコットン襦袢生地や通常の麻生地は0.3)、冷たい生地の基準とされる0.2の倍の数値を実現しています。

女性の着用例、見る人も涼しくなる清涼感。販売はこちらから。

 

ひんやり爽やかな麻100%のオシャレマスク、価格弾力性が比較的小さい(贅沢品が許される)着物生地でこそ実現可能な逸品です。

アイスコットンだけではない涼しいマスク素材、麻にも注目してみてください。廣田紬では通常の手芸屋さんでは手に入らない特別な着物の生地を切売り販売しています。様々な生地を組み合わせて作るオリジナルのスペシャル夏マスク、少しでも快適に過ごすお手伝いができれば幸いです。

 

冷感素材のマスク生地販売はこちらから

 

 

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