タップして閉じる

- ブログ -
問屋の仕事場から

2020.02.15
織物の組織を拡大(Zoom)する 〜結城紬編〜

織物の組織を拡大してみること素材の特性、手仕事の魅力が更に伝わってきます。今回は紬の王様である結城紬を題材にしてその魅力にせまります。

廣田紬のインスタグラムでは織物組織の拡大をテーマにして投稿しています。

結城紬や大島紬をはじめ、芭蕉布などの自然布、果ては畳などの拡大画像も掲載しており、織物通の方にフォローいただいております。

本ブログにおいても様々なところで織物組織の拡大画像をUPしていますが、今回はこの拡大画像を徐々にズーミングすることで絣織物、その中でも結城紬の凄さを伝えたいと思います。

撮影対象は160亀甲の結城紬(生成り色)、色紙の飛び柄です。

飛び柄とは模様が一定の間隔で飛んで繰り返される柄のことです。この結城紬の場合は桜の花、唐草を抽象化した短冊が生地に舞っています。遠目に見れば染め分けた糸の組み合わせで柄を構成する絣織物であることはわかりません。

こちらを高画素のカメラで撮影、さっそく生地をズームインしてみます。

生地に対して柄の大きさが相対的にわかるレベル。他人との対人距離でこれ以上近づくことはありません。特段の織物好きでなくともこの模様が絣で構成された、いわゆる色紙柄であることがよくわかります。

もう少しズームイン、

親しい人や、他人でも隣に座るようなシーンであればこのくらいの距離感になることがあります。模様が亀甲で構成されていることがハッキリとわかります。

さらにズームイン、

気になった人が生地を間近でみるレベルです。紬糸の節感や絣糸の合わせ具合が見え、このあたりになると織物好きでわかる人は100亀甲の組織より細かいなと気づくようになります。

そして人の目で見ることのできる限界までズーム、

絣模様によほど関心がある人でない限り、ここまでまじまじと見ることはないでしょう。隣り合う地糸と絣糸が明確にわかり、経緯の絣り合わせの苦労が見えてきます。糸づくりをはじめ、すべてが手仕事で作られる結城紬の味がわかる画像です。

※高解像度のワンショット画像はこちらのページにございます。ダウンロードすることで任意の箇所を拡大できるようになります。

 

拡大鏡(ルーペ)を使用してズーム

ここからは拡大鏡を使い撮影、肉眼では見ることのできない世界をみていきます。

こちらは10倍のルーペで見たもの。

1次元の経糸と緯糸(線)が重なり合って面となり、2次元の布が作られていることが分かります。絣を構成する色糸が3種類であることや、160亀甲の組織(地糸3本に対して絣糸1本)であることも明確にわかります。

少しトリミングして拡大します。

生地の表面の毛羽立ち、紬糸から飛び出る毛羽がハッキリと見えてきます。きっちりと染め分けられなかった絣足の具合もよくわかります。

カメラ側の光学ズームを使い、さらに拡大していきます。

一本に見える糸が複数の繊維を束ねて作られていることが分かります。結城紬は撚りをかけない無撚糸ですが、一本の糸の中でも甘い右撚りと左寄りが混在、毛羽立ちも相まって完全にストレートではないことがわかります。

解像度が許す限り拡大していきます。

毛羽立った繊維一本一本が見えます。本格的な実体顕微鏡を使えばさらに拡大ができるかもしれませんが、ドット絵を構成する最小単位のTの字が画像一杯になったところで今回のズームは終了です。

 

組織を拡大することでわかる素材感や手仕事の証、織物の奥深さをさらに思い知ることができます。身近にある10倍のルーペとデジカメでここまで拡大することができますので、皆さんも是非試してみてください。