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問屋の仕事場から

2019.08.31
ランダム崩しの男物下井紬

紬糸のざっくりとした質感が伝わる男物の下井紬、粋な崩し柄が織りあがってきました。

経糸と緯糸が一本づつ交差するシンプルな平織ながら、絣と見間違うほどのデザインが可能なクズシ織、糸を浮かせて地模様をつくる綾織と異なり、普段着としての耐久性を兼ね備えています。遠目に見れば無地感覚の織物に見えますが、近づいて見れば細かな網代模様になっていることからぐっとオシャレ感が増します。

崩し織は異なる濃淡色の糸を交互に配置しているため、一つのブロックに複数のラインが入ります。経糸5本、緯糸5本であれば5本崩しと呼ばれ、規則的な繰り返しとなります。

五本クズシの模式図、実際は経糸と緯糸の太さが異なることが多く、正方形のブロックにはならない。

通常は規則的になるクズシ織ですが、今回紹介の下井紬の男物は2~5本が崩しが不規則に配置されています。ランダムな配置となることで縞立ちが現れ、どこか仙台平を思わせるような横筋模様になっています。※長さは着尺分ございますが、袴にもお使いいただくことができます。

ランダム崩しの下井紬、独特の縞立ちが現れる。染料には梅、ススキを使用。

崩しがランダムに入っていることで生地の表情が更に豊かになり、なんともいえない味わいにつながっています。クズシ柄はそれだけで十分粋なものですが、それを更に捻り作り上げたのがランダム崩しの下井紬なのです。

大柄な男性にもうれしい、1尺1寸以上の生地巾を確保。

クズシ織は2本の異なる色糸の組み合わせになりますが、お互いの色相が違えば違うほどコントラストが際立ちますし、近いほど柔らかいイメージになります。色の組み合わせ次第で全く違う表情を見せるクズシ織、下井さんの色彩感覚はそれを見事にコントロールしています。

ランダム崩しの下井紬、粋という言葉がぴったりな逸品に仕上がっています。

墨黒のタイプ、遠目に見るとデニムのようなイメージ。

どれーぷした明るい布

若草色のタイプ。コントラストが際立たないと柔らかいイメージ。ススキ、玉ねぎ、梅、ログウッドを使用。

深緑のタイプ。クズシが目立たず、深みのある生地に仕上がっている。