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問屋の仕事場から

2019.01.09
下井紬の白生地

都会向きの洗練されたデザインが特徴の下井紬ですが、後加工を前提とした紬の白生地も作られています。

一口に紬の白生地といっても様々な種類があります。紬の定義については「紬とは」で解説させていただいていますが、最上級のものが経糸、緯糸ともに紬糸を100%使って織り上げられた「諸紬」です。一般的に流通している「紬の白生地」は節糸(紬糸とは限らない)を緯糸に20%程度(5本に1本)織り込んだものです。

経緯にランダムに現れる節は諸紬の証。

下井紬の白生地は経糸、緯糸ともに紬糸を使った諸紬、織機で大量生産された紬調織物とは完全に別物の風合いに仕上がっています。紬糸を余すことなく使うことでフワッとした真綿独自の質感が発揮されますし、着る人が毎回嬉しくなってしまうほどの味わいを内包しています。

シンプルな白生地ですが、真っ白の生地は各種エラーが目立ちやすいため、実は通常の生地を織るよりも神経をつかいます。この生地も大変苦労した末、なんとか織りあがったものと下井さんご自身もおっしゃっていました。

紬の風合いの違いを楽しめるようになれば本当の着物通。

最高の風合いを持つ諸紬ですが、市場を探してもほとんどお目にかかることはできません。白生地ともなるとさらに貴重な存在です。

少し節糸が入るだけで紬感は演出できますし、それを後染めしたものを「紬の訪問着」と称しても間違いではありません。消費者が詳しくない限り、紬を使っている(付加価値がある)と売り文句にすることができます。

しかし紬屋の立場からすると、せっかく手間をかけて後加工をするのだから、生地をケチらずに上質な白生地を使ってほしいものです。安価なインクジェットで加工する分には低コストの紬調織物もよいでしょう。しかし手描き友禅や刺繍は職人が丹精込めて作り出す手仕事なのに、自動織機で量産された白生地がベースになっていては、とても残念なことです。やはり生地の持つ風合いも大切にしてもらいたいという思いがあります。

少々値は張りますが、それ相応の加工をしていただくのにふさわしい最高の紬をお求めください。廣田紬では真の風合いを求める人のために、こだわりの白生地を提供させていただきます。