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問屋の仕事場から

2018.08.13
久米島紬の白生地

久米島紬といえば琉球独自の絣柄を使った茶褐色の着尺を思い浮かべます。廣田紬では古くから久米島紬の良さに注目しオリジナル商品を展開していますが、今回は久米島紬の白生地が入荷してきました。

紬の白生地と一口に言っても様々な種類があり、製法も価格もまちまちです。大抵が自動織機で織られた商品で申し訳程度に節を有しています。それらは糸質も均質なものが多く、緯糸の打ち込みも均一な力でされているので地風が一定で味気ないものになります。

友禅染のような後染め加工をするためには、節が残っているとそこに染料が浸み込みムラになります。織り段もより強く現れますので、それを避けるためにはできるだけ均一な糸を使い、凸凹がないほうが望ましいのです。

写真は後染加工に使われる代表的な白生地です。

絹紡糸の紬調織物(左)、緯糸の一部に紬糸を使用(中)、経緯糸の一部に紬糸を使用(左)

白生地は後加工に多大なコストがかかることから生地にかかる費用は出来るだけ抑えなければいけません。これらはすべて自動織機で織られたもので、一定の生産ロットで造り込むことでかなりのコストダウンがなされています。コストは左<中<右となり、紬糸の混率が高いほど高価なことがわかります。紬糸と生地の関係については紬とはのところで詳しく解説していますので参考にしてみてください。

 

さて、節糸の少ない生地は後染加工でムラにりにくい利点がありますが、せっかく紬生地を使うのですからその風合いにもこだわりたいものです。

高級染着物は白生地に幾多の加工をして相応の価格になるわけですが、自動織機で量産された生地を使った場合は全体に占める生地コストの割合は小さなものです。高度な技術を持つ職人を何人も経て後加工を施すのですから、それに相応しい風合いの生地を使うのが本筋ではないかと思うのです。

さっそく最高の風合いを持つ久米島紬の白生地を見ていきましょう。

経糸には生糸、緯糸に紬糸(100%)を使っているため、緯糸に節糸が浮き上がります。紬のお手本というべき真綿紬の独特の風合いが伝わってきます。

そしてこの生地、実は先染めでほんの薄く染めてあります。島に自生する琉球椎を使いごく薄い生成に仕上げているのです。何もしない状態の白生地は時間が経つと絹が黄色っぽく変色してしまいますが、先染めすることで黄変にも強い生地になります。

コピー用紙(右)との色比較、ほんの少し生成がかった生地に仕上がっている。

紬を後染めするとどうしても染めムラが生じるリスクがありますが、うまく補正してやれば着物にならないという致命的なことは避けられると思います。

紬地で後染めの着物を作りたいが、織機で量産された白生地ではちょっと味気ない。そんなときは最高級の風合いを備えた久米島紬の白生地をお試しください。