タップして閉じる

- ブログ -
問屋の仕事場から

2018.03.20
サラリとした単衣向きの久米島紬

安田英子さんの工房で作られる廣田紬オリジナルの久米島紬、従来にはない発想の物作りを行っています。今回紹介するのは単衣向きのサラリとした風合いの商品です。

久米島紬といえば真綿から引き出された紬糸を使い、フワッとした紬織独特の風合いが特徴です。ゆえに単衣や夏向きの織物ではありませんでしたが、糸質を工夫することによりサラリとした単衣向きの風合いに仕上げることができます。

今回紹介の崩し織の着尺は適度なハリ感があり、結城縮のようにブヨンとした風合いです。

従来のふんわり感ではなく、単衣向きに絶妙な張り感をもつ。

そして経糸に生糸を使う従来の久米島紬とは異なり、経糸にも紬糸が使われています。絹糸で夏向きのシャリ感を演出するには強撚糸を使う方法が一般的が、この久米島紬は別の方法で単衣向きの風合いを作り出しています。

この久米島紬には廣田紬オリジナルの特別な紬糸が使われているのです。詳しくは企業秘密ですが、半練の紬のような風合いをもつ生成の紬糸です。この紬糸を一定の混率で織り込むことで独特のサラリとした風合いに仕上がります。

そして色糸はホルトノキ(別名モガシ)の樹皮から得られたもの、タンニンを多く含み大島紬の染料にも使われるものです。安田さんの工房の裏庭にはたくさんのホルトノキが自生しています。

この久米島紬は経糸に紬糸が織り込まれていることから、伝統的工芸品としての久米島紬の定義からは外れてしまいます。よって県営検査には出されずに廣田紬のオリジナルの証紙が張られます。

※たて糸に使用する糸は生糸とし、よこ糸に使用する糸は真綿の手つむぎ糸とすること。

夏久米島ともいえる単衣向きの久米島紬に張られる証紙、従来の証紙のモノトーンバージョン。

従来は経糸も紬糸で織られていたのですから少し解せませんが、一応のルールですので仕方がありません。他の産地の検査組合はそれなりに柔軟性をもっているのに対して、久米島紬の検査体制がしっかりとしているとも評価できます。

単衣、夏向きのオリジナルの久米島紬、他にはないその風合いを是非お確かめください。そして一反から別誂えが可能です。納期は要しますが一度ご相談ください。

 

珍しい空色の格子柄、夏帯とあわせて

珍しい空色の格子柄、夏帯とあわせて

 

廣田紬にご興味をお持ちくださった方はこちら
詳しくみる