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問屋の仕事場から

2023.05.29
販売店も知らない結城紬(反物)のたたみ方

流通時には平だたみになっていることが多い結城紬ですが、どのようにすればキレイに畳むことができるか解説します。

結城紬は超高額品ですので商品としての回転率が低く、何年もお嫁にいかずお店に在庫されていることが普通です。

本場結城紬は丸巻きの反物ではなく平だたみの状態で流通します。すると当初は綺麗に折られてるのですが、時が経つにつれて少しづつ反物の端がズレて、きっちりと端が合わなくなります。

端がズレる原因として、お客さんに着装してうまく畳むことができなかったケースもありますが、反物が湿気を吸って縮んでしまうケースがほとんどです。

「真綿で首を絞める」という言葉あるとおり、真綿は水を含むと縮む性質があります。他の紬に比べて結城紬は特に真綿度?が高いので空気中の水分を吸収するとだんだんと縮んでしまうのです。縮むといってもほんの少しで、湯通し整理すると元に戻ります。ただ、12m以上の長さのある反物が10センチ縮むだけでヒラ畳みの状態だと結構ズレが目立ってくるものです。

実は結城紬のたたみ方を知らないお店も多いのも事実で、参考にしていただければ幸いです。

結城紬のたたみ方(販売店様向け)

端のズレが気になる結城紬がありましたので早速きれいにたたみ直ししてみましょう。この商品は委託催事から帰ってきたばかりのもので着装をしたからでしょうか、このような具合に大きくズレが生じています。

結城紬は12mの反物を複数回(5回)折りたたんで平畳みにしています。折りたたむということは生地が32層になっているということで、最も内側と外側ではだいぶ長さが違うことになります。その違いを考慮してたたまなければ、いくら綺麗にたためたと思ってもいずれズレてくるのです。

以下、どうすればうまく折りたたむことができるか実際にやってみましたので参考にしてください。

まず、12m以上ある織物を二つ折りにしないといけませんので、様々な余裕をみれば8m以上の長さが確保できる空間が必要です。そしてできれば二人掛かりで作業を行なってください。

まず反物を2つ折り(1回目)にします。

カシャゲ(証紙の先端部)と末端を揃えるのですが、ポイントは末端をきっちりと揃えないことです。

商品の特性にもよりますが、だいたい10〜15センチくらいあらかじめズラして配置しておくのがポイントです。

しっかりと端を抑えて反物を引っ張り、歪みがないようにしてから2回目を織りこみます。

2回目も端を完全には合わせずに少し手前に来る辺りで止めます。

そして、両膝で体重をかけて押さえ込み、もう一方が端を引っ張ります。

中に巻き込んだ部分がヨレないように気になれば中の1枚もぐっと引っ張ります。

張力の張った状態であることがポイントでここが緩んでいたら後からズレる原因になります。

3回目も同じことをもう一回繰り返します。

シワやヨレができないようにバシッ、バシッと手際よく正していきます。

ここまでくればあとは一人でOK。4回目、5回目と折りたためば結城紬の平畳の完成です。

今回は畳の上で2人でゆっくりと作業しましたが、慣れた人だとこれを手に持ったまま一人でやってしまいます。

以上、結城紬の平畳の方法でした。

お店に在庫してある結城紬をチェックいただき、ズレがあったら風通しだと思って整備してみてください。ヨレっとしていた結城紬が新品のようにバシッと美しい佇まいになるはずです。

 

 

 

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