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問屋の仕事場から

2022.06.17
木綿好き必携の丹波木綿譜 

今回も引き続き資料棚からの書籍紹介、「丹波木綿譜」を紹介します。

一度は人々から忘れられた丹波布、柳宗悦にその価値を見出され現在では国指定の「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として作り続けられています。青垣地区を中心とする丹波布ですが、丹波においては昔から広範囲に渡って綿織物が作られていました。

格子柄の丹波布、手紡ぎ糸、草木染め、手織りの極めてプリミティブな織物。

現在のような格子柄に縛られることなく、無地、縞、絣、型捺染による後染めまで様々な生地が作られていました。丹波布の枠を超えたバリエーション豊かな丹波の木綿達についてこの本は紹介、日本の素朴な木綿文化の発達史とも言える内容に仕上がっています。

著者は河合喜代太郎、解説書に加えて江戸時代から明治時代頃の木綿裂が177枚も貼り付けられています。100部限定でしか発行されなかったため、極めて希少な資料となっています。

「ヤフオク!」では全て揃った完品が高額で落札されていました。

 

圧巻は2巻にわたり177種類に及ぶ実物の裂地集、よくこれだけ集めたと感心させられます。

無地に始まって、縞、絣、染物、実にバリエーション豊かな布たちが迎えてくれます。

一部ですが、写真で紹介できればと思います。

無地、白生地と藍染

 

藍の市松

 

格子と緯絣

格子、太い糸を使い紅梅調に仕上げている。

経緯絣

藍の型捺染

手の込んだ経緯絣

いかがでしょうか。現在の丹波布のルーツとは思えないほどバリエーションが豊富です。注目すべきは盛んに藍が使われていることです。現在の丹波布が藍を使いたい場合外注せざるを得ないことを考えると、豊かな藍染め文化があったことが偲ばれます。

たくさんの木綿生地にふれることのできる本書、ほとんどが呉服関係筋に配布されたと思われますから、倒産などで一部が流通するのみ、アマゾンなどで運が良ければ購入することができるようです。見つけたらば迷わず入手されることをお勧めします。

また、こちらに掲載されている縞、格子であれば再生産することも可能です。

廣田紬では丹波布の別注を1点から行なっております。この本以外にも過去作成したたくさんの見本帳を参考にしたり、織物シュミレーターを使ったオリジナル設計も行なっています。是非一度お問い合わせください。

 

 

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