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問屋の仕事場から

2021.09.27
ピンクと赤の丹波布

丹波布は茶系や藍を基調色とした織物です。媒染や藍色との掛け合わせで黄や緑といった色も織り交ぜられますが、「赤」はなかなか使われることがありません。

茶色を基調とする丹波布、媒染でのカラバリが豊かになる。

無数のデザインパターンが存在し、飽きることのない丹波布の格子柄ですが、ピンクや赤系統の色が欲しいという強も需要あります。

しかし地元で産出される植物染料にこだわる丹波布においては、自然染料でよく使われる「コチニール」を使うことはできません。

そんな中、優しいピンクを基調にした商品が織りあがってきました。

こちらの商品の染料には「ビワ」が使われています。果物の部分ではなく、葉から染料を抽出、手紡ぎ綿のふんわり感も相まってとても柔らかいピンク色に染めることができます。縞の緑色(こぶな草)はピンクを引き立ててくれています。

縞には茶色も入り、グラデーション効果をもたらしている。

ふわっとかわいいピンク色の丹波布八寸帯、いつもの民藝テイストが抜けて注目されることでしょう。

 

そして更にビビットな「赤」な商品がこちら。

茜から赤を抽出したもので、経糸、緯糸にも使うことで交点の箇所は濃い赤の面を作り出しています。

緋色、スカーレットとも呼ばれる茜の赤、古来から赤色を作り出す植物として重用されてきました。

ビビットな赤と対をなすアッシュは丹波布に使われる代表的な染料である栗を使ったもの。ベージュの地色は栗を無媒染したものですが、鉄媒染することで独特のグレー、灰色を作り出します。

組織の拡大、絹糸は綿糸と反射具合が異なるのがわかる。

そして格子のピッチごとに絹のつまみ糸が緯糸に使われています。

ビビットな緋色を使った丹波布、茜由来の染料はたくさん採るのが難しいため稀少性の高く、ただでさえ生産量が少ない丹波布の中でもレアアイテムと言えるでしょう。

以上、ピンク、赤の色糸を使った丹波布の紹介でした。

 

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