近年、使わなくなった着物をどうすれば良いかという悩みが増えて…
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問屋の仕事場から
- 2020.11.03
- 案外少ない結城紬の書籍、漫画でサクッと読み飛ばしてみては
最高のブランド力を持つ結城紬ですが、それを扱った書籍については数も限られてしまいます。ネットに情報が溢れる現在ですが、紙媒体で結城紬のことをじっくり知りたい方に書籍の紹介です。
まずは結城紬のことをさらっと知りたい方に、「てんてんと歩くキモノみち 紬からはじめました」
シンプルな漫画で読み進めていく本書、結城紬について書かれた本では最もシンプルにサクッと読み飛ばせる内容になっています。
著者は「ツレがうつになりまして。」の細川貂々さん、なんと本人が結城紬について一切知らなかったため、難しい言葉は一切使わずに、初心者目線でわかりやすく解説しています。
※逆に既に紬とは何ぞやを知っている人には物足りない内容かもしれません
結城紬のことだけではく、普段キモノとしての紬についても的確に表現されていて、着物初心者が普段キモノのとはなにかを知りたい場合にも役に立つ内容です。
憧れの最高級紬の結城紬、気軽に買えるものではありませんし、着物初心者にとっては縁のない存在と思われています。しかし本書では中古着物を洗い張りして仕立て直すことで、現実的に手の届くものであることも紹介しています。
紬について今まで知らなかった素人である著者が解説する漫画ですので、多少突っ込みどころもありますが、紬のことを簡単に漫画で読み飛ばしたい方は是非一度手にとってみてください。
本書は結城紬についてサクッと知りたい方に最適な入門本ですが、既に絶版となっていて中古本などで入手するしかありません。
アマゾンではタイミング次第では中古本をリーズナブルに入手することができるかもしれません。
また、この本を監修されている石嶋眞理さんの書かれた本がこちらの「結城紬着る知る」。さらに深く学びたければ合わせて購入されるのもおすすめです。
大変有名な結城紬ですが、結城紬の書籍となると実はあまり多くはないのが実情です。アマゾンで結城紬の書籍で検索しても引っかかるのは10点ほどです。着物人口の減少もあり出版しても確実に採算が取れないテーマでもあります。採算性の取れる時代に発行された本、これらには結城紬の全盛期と重なります。
例えばこちらの人間国宝シリーズ43
結城紬の技術、生産量共にピークを迎えていたの1970年代に発行されたものです。結城紬の歴史や製法、柄の種類について紹介したもので、結城紬を知るのに最適な一冊です。
現在ではとても作ることの叶わない実に贅沢な柄がたくさん掲載されています。
こちらもアマゾンではプレミアがつくなどしており、このような良書が簡単に手に入らない現状はとても残念です。
結城紬は着物雑誌などのメインコーナーで取り上げられることはあっても、なかなか書籍のテーマにはなりません。採算性が取れないのはわかりますが、補助金などを活用してぜひ出版物という有形物で残してもらいたいものです。