知る人ぞ知る秦荘紬、櫛押し絣を使った独特の色彩の柄が特徴です…
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問屋の仕事場から
- 2021.06.08
- 昔懐かしい親しみ、秦荘紬八寸帯
滋賀県、愛荘町(市町村合併前は秦荘町)で作られる秦荘紬、櫛押絣の独特のデザインが人気の着物ですが帯も作られています。
今回紹介するのはザックリとした風合いの紬八寸帯、太い真綿糸を使って織られたものです。
青、赤、白の山路紋が連続する太子間道とも呼ばれる柄です。経絣だけで柄を作ると、白い緯糸が入り込んだ部分がボヤけたイメージになりますが、太鼓と腹の部分は経緯の絣を使ってコントラストが強い柄を作り出しています。
こちらは更に強い絣のメッセージが伝わる柄です。絣自体は曖昧な柄ですが、白と青の深みが強いコントラストを放ちます。昔ながらの民藝調の抽象柄ではありますが、ビビットカラーが斬新に映るシーンも多いのではないでしょうか。
秦荘紬の帯は高度な織り技法を駆使した西陣織や、繊細な美しさが光る琉球の花織など帯とは違う持ち味があります。太細がまばらなザックリ感が楽しい生地風に、絣の力がはっきりと伝わるデザインを合わせることで、より魅力的なホッコリ感のある帯に仕上がっています。
ぱっと見は昔ながらの民芸調の帯に見えますが、実際に手に取るとその奥深い魅力に取り憑かれることでしょう。