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問屋の仕事場から

2020.01.16
5種類の糸を使った草木染半巾帯

一口に絹糸といっても蚕の品種や繭の部位、糸の採り方で様々な種類の糸があります。多様な糸を組み合わせることで、何とも味のある半巾帯が織りあがりました。

半巾帯は帯締めや帯揚げを使わず、シンプルに締めることができます。フットワークに優れ、毎日でも使う相棒には 「シンプルデザイン」と「耐久性」の両立が求められます。そこに「粋」を加えたのが今回紹介の草木染半巾帯です。

草木染100%の優しい色合い。

ベージュ色の生地は渋木(ヤマモモ)の樹皮を使って染められています。

そしてそのざっくりした生地風からは、使われているそれぞれの糸の声が聞こえてきます。

経糸にはタッサーシルク(柞蚕)糸と座繰り糸の2種類、緯糸には野蚕糸、キビソ糸、座繰りの玉糸が使われています。

それぞれ違う糸の太さ、硬さ、撚りの具合などが織り重なり、何とも言えないザックリとした風合いに仕上がっています。

組織を拡大して見ます。

経糸はタッサーシルクの黄金色と、緯糸は太く粗野なキビソ糸が目立ちます。

するめのような太い粗い糸

スルメのようなキビソ糸、絹糸をとる前段階の副産物。

キビソ糸は適度な硬質感を持っていて耐久性にも優れます。座繰りの玉糸との組み合わせで帯として最適な張り、しなやかさに仕上がっています。

側面からみると更にザックリ感が伝わってくる。

ザックリとした糸使いの半巾帯ですが、持ってみるとフワッと軽いことに驚かされます。重量はわずか200g程度、フットワークが重視される場面ではとてもありがたい軽さです。

それぞれ特性の異なる5種類もの糸を織り交ぜた草木染半巾帯、実用性と粋を兼ね備えた静かな逸品です。

 

「桜」で染められた別タイプ、こちらは一定ピッチで横段が織られている。

 

 

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