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問屋の仕事場から

2024.03.18
下井紬 × 奄美大島泥染のコラボ着尺(男性向け幅)

真綿の風合いが素晴らしい下井紬の男物着尺ですが、奄美大島で泥染を行なった糸で製造することになりました。

きっかけはある洋服店からの「真綿を使ったあじろ模様の泥染大島紬を作成できないか」という依頼でした。

大島紬はその名の通り「紬」であったはずでしたが、現在においては平滑な絹糸を使って絣模様の表現に特化した織物になっています。過去には紬糸が使われていたこともあり、稀に緯糸に紬糸を使った商品も存在します。

緯糸に紬糸をつかった大島紬、節がポツポツと浮いている。

しかし今回のご依頼は「経緯共に紬糸を使用」ということで、経糸を紬糸で作るというイレギュラーな工程を奄美産地では受け入れてもらうことができませんでした。

経糸に紬糸を使う場合、その節が邪魔をして緯糸を通す時に途中で杼が止まったりしてしまいます。大島紬の工程においては分業制で動いていて、織り子さんが1反織り上げてナンボの世界、ややこしい案件は嫌われてしまう状況だったのです。

そこで糸のみ奄美大島にて泥染を行った上で、下井紬の下井さんの工房で製織するという流れを手配することになりました。染色を依頼するのは奄美大島で泥染を専門に行う金井工芸さん、とてもイレギュラーな小ロットの煩わしい依頼を受けてもらいました。

試し染してもい、こっくりと黒にそまった紬糸。

様々な草木由来の染色をされている下井さんですが、今回泥染の糸を使うのは初めてです。大島の泥染は絹糸に泥のコーティングがかかり糸が太ると表現されるくらいです。特性が変わってしまい本当に製織ができるのか、まずは1カセだけ染めて試験を行うことになりました。

結果、問題なし。濃淡2色を使用してあじろ模様を表現するために織物設計を行い、早速必要量の紬糸を手配します。

今回染め上げる前の糸、下井さんが仕上げた非常に上質な特別仕様の紬糸である。

奄美大島に送り、2パターンの濃淡に仕上げてもらいます。

泥染は何十回も重ねると濃度が濃くなり、黒に近づきますが、今回は泥茶の色がわかりやすい濃い茶色と少し明るめのグレーの2色に染めてもらいました。

染め上がった紬糸がこちら、

使われる糸の種類は3種類(経糸:座繰りの玉糸、緯糸:2種類の太さの違う手紡真綿糸)で、経緯ともに100%紬糸の諸紬を作ることになります。

早速下井さんの工房に送り織り上げてもらいました。

あじろは6本、7本崩しになっていて、なんとも言えない絶妙な色合いに織り上がりました。

泥染糸の影響でしょうか、ある程度コシの残ったしっかりとした生地です。冒頭写真では撮影のため無理やりドレープさせてみましたが、生地がドレープ状態を保つことができないくらいしっかりとしています。

生地にやたら厚みがあってゴツイというイメージではなく、糸自体がしっかりとハリ感を主張してくるのです。

オーダーいただいた先は服地での利用ということで1尺1寸2分近くあり、かなり高身長の方や男性向けのサイズになります。

大変希少性の高い泥染紬糸を使った諸紬、実は2反限定でフリー品として販売できることになりました。ぜひお手にとっていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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