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問屋の仕事場から

2019.10.16
黒壁に映える「玄想庵」の篆刻看板

廣田紬の玄関に「玄想庵」の看板がかかりました。

京町家を活用した貸会場「玄想庵」、これまでそれらしい看板がなく、廣田紬(株)内としか案内されていませんでした。謎めいた秘密のスペース感も人気でしたが、初見の方にもわかりやすいように看板をかけることになりました。

作成したのは篆刻(てんこく)の看板。篆刻とは木材や石材などを彫刻して印章を作ることをいいます。主に篆書と呼ばれる古い漢字が使われますが、使われる書体は様々です。身の回りでは印鑑などが多いのですが、看板も彫られています。

有名なのは長浜市にある安藤家屋敷の「呉服」看板、北大路魯山人によるもの。

安藤家屋敷にある「呉服」の篆刻看板、本作含め屋敷、庭、全てが圧巻、有料であるが一見の価値あり。

さすがにこのサイズでは作るわけにはいきませんので、杢目が美しい北山杉の板に篆刻を施しました。加工は篆刻家の小田玉瑛先生、遠くから見ても一目でわかる素晴らしいものに仕上がりました。黒漆喰の壁に明るい杉板をかけることで看板自体が目立つ効果があり、そして文字が浮き立つように「玄想庵」が白抜きされています。

看板の文字は歴史感を演出した旧字体や奇を衒った面白文字を使うことがありますが、初見の人にとって重要なのは可読性です。これならば初めて訪れた人でもすぐに当地であることが分かります。

廣田紬の玄関にはもう一つ「結城紬」と書かれた古い篆刻の看板がはめ込まれています。経年による良い味が出てきていますが、新しい玄想庵の看板も数十年先には味わいを更に増すことでしょう。プリント看板で決してなし得ない手仕事の味、来訪時には是非注目してみてください。

 

玄想庵の看板も作品として出展された篆刻の展示会。 @京都文化博物館