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問屋の仕事場から

2019.10.09
爽やかな緑の丹波布 

丹波布といえば茶系を地色とした縞格子柄を思い浮かべますが、爽やかなグリーン系統の商品も作られています。

丹波布に使われる染料は地元の植物を採取し、煎じた煮汁で染めたものばかりです。化学染料の類いは一切使わず、コチニール(赤色)といった動物性染料もご法度です。染料を外部から調達することもないため、おのずと色使いに制限が出ます。

「丹波布」で画像検索すると、多くは薄茶に格子模様といったThe民芸調というべき地味な色合いにまとまっています。

 

丹波布の一般的なイメージ、地味な色合いが多い。

茶色は丹波名物の「栗」から得ることが多く、栗の実の皮を石灰で媒染することで明るい茶色を得ることができます。他にハンノキ、矢車附子、クルミなど様々な地元に自生している植物から茶系の染料を得ることができます。媒染剤によって得ることのできる色も異なり、茶系の色に関しては丹波布のベースカラーといってよいでしょう。

それぞれの素材の媒染による色の違い。@丹波布伝承館

縞格子のシンプルデザインの丹波布、茶色を地色としてしまうことでどうしても地味な印象を与えがちです。廣田紬では冒頭の写真のような爽やかさを演出する緑色を使った商品も展開しています。

緑色は青色と黄色の組み合わせで作り出すことができます。

緑色に染められて乾燥中の綿糸、乾くと更に鮮やかになる。

青はおなじみの藍染め、丹波布においては藍染めの工程は紺屋で行われます。現在はこの工程はどうしても外注となっていますが、組合的な機能をもつ丹波布伝承館には藍甕もあり、内製化に向けた取り組みも行われています。

黄色の染料の代表は黄八丈にも使われるコブナグサ(苅安)、そのほかに楊梅(やまもも)、ザクロなどでも作り出すことができます。

葉の形が小さな鮒に見える、コブナグサ。鮮やかな黄色の染料となる。

各々の植物からとれる黄色系の染料と藍を掛け合わせることで緑系統の色がつくられますが、濃淡の調整は作り手の感性任せです。化学染料のようにRGBで正確に指定することはできないのが魅力の一つでもあります。綿糸を染め上げて、織り上げてみて初めてわかるのです。

上は藍一色、下は藍をベースに色味を緑に寄せた商品。

藍と緑の綿糸、自然染料組み合わせは一期一会の色をつくる。

経緯に様々な緑が使われているが、すべてコブナグサ(みょうばん媒染)と藍の組み合わせ。

 

保守的なデザインが多い丹波布において、緑色を地色にしてもの作りをするのは少々勇気がいります。そもそも100%草木染で緑色の帯ということ自体がレアケースなのではないでしょうか。草木染の緑の帯を探しているけど、なかなか世の中に存在しない。たまたまそれが丹波布との出会いであったとすれば素晴らしいことです。

 

廣田紬では緑以外にも丹波布の別誂えをすることが可能です。地元で採れる天然染料を故に明確な色指定は困難ですが、織りあがってきたときの感動はひとしおです。