カイコが繭を作るときに最初に出来た部分を生皮苧(きびそ)とい…
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問屋の仕事場から
- 2017.10.30
- こだわりの草木染おしゃれ帯
廣田紬ではおしゃれ着物に最適な工芸帯も取扱っております。織で様々な趣向を凝らした工芸帯は、染帯では表現できない洒落っ気、楽しさがあります。
今回は手織り、100%草木染にこだわった逸品を紹介します。
冒頭の写真、刺子の八寸の名古屋帯で、藍と渋木による草木染です。経糸には座繰り糸を使用、ところどころに目立つ節糸は、緯糸に玉糸(座繰り)を使用しているからです。
六通の大きな十字模様の柄、一つ一つ刺子によって模様を作り上げています。
続きましては綾織格子の九寸帯、植物染料は藍、渋木、矢車草を使い染め上げています。
綾目がはっきりとわかるようにデザインされ、それが紋様となって楽しませてくれます。
シンプルな縞格子の中に、綾目が映えるおしゃれ帯、様々な紬に合わせていただける非常に使い勝手の良い商品です。
次はユニークな浮織を複数織り交ぜた出したおしゃれ帯です。
こちらはメガネ織と呼ばれる細いメガネのフレームのように見える織り方。
他にも銀糸を使った浮織など、様々な趣向を凝らした浮織が散りばめられています。落ち着いた地色は、藍と矢車草を使用したものです。多色使いながらも決して派手ではない、遊び心あふれる商品です。
最後に紹介するのはパッと見は何の変哲もない無地の八寸帯です。
藍に近い黒はログウッドと渋木の草木染です。そして柞蚕と呼ばれる野蚕種の糸が使われており、独特の風合いがあります。
野生の蚕である柞蚕は飼育された家蚕とは異なり、個体が非常に大きく野性味あふれるものです。天蚕糸と比べて太い糸質でしなやかさに劣ります。しかしその野性味あふれる素朴さが特徴で、染めたときの斑もよい味となります。そのゴワゴワした風合いも張感が必要な帯に適しています。シンプルな無地だからこそ糸質を主張したい粋な商品です。
以上、こだわりのおしゃれ帯の紹介でした。これらはすべて信州の同じ作家さんの作品です。手織と草木染にこだわった丁寧なモノづくりは、手に取ると作り手の暖かさが伝わってきます。11月の展示会でもご覧にいただけますので是非お手に取ってみてください。