那覇空港の国際線ターミナルビル3階ふくぎホールに琉球の織物を…
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問屋の仕事場から
- 2017.10.20
- 紬に最適な琉球びんがた
琉球紅型はその鮮烈な色使いで見る人の視線を釘付にします。独特の柄の中に鮮やかな色を落とし込んでいくわけですが、色自体は派手ながらもその組み合わせの妙で全体が上品に見えます。そしてその立体感は単なる型絵染とは違う躍動感があります。
琉球紅型には模様の輪郭に濃い色を挿してボカシを入れる独自の方法があります。一つ一つ手で挿していくため、どこか微妙な違いがあり、同じ型は一つとしてありません。美しいランダムなグラデーション、色の深みは機械刷りでは決して出せない味があります。これだけ印刷技術が発達した現代でも、人の手によって作り出される魅力にはかなわないのです。
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単に型を置いて色を摺る型染めではなく、一つ一つ筆で色を挿していく。
また、隈取りと呼ばれる技法で柄の縁をなぞることも特徴です。手仕事でなぞっていくことで、暈し、グラデーションは具合が一つ一つ異なります。古典紅型にはなかった技法ですが、昔の柄がこの隈取りによってダイナミックに甦ることもあります。
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知念初子氏の紅型(帯)を拡大、人の手によって作られた色の深みが伝わってくる。
紅型には植物染料だけでなく顔料も併用されます。顔料を使用することで、日差しの強い沖縄でも色褪せません。顔料は生地への定着が難しいのでしっかりと刷毛で刷り込みます。手仕事で丁寧に作業を行うことから様々な生地への加工が可能となっています。
廣田紬では従来の綸子の他にも芭蕉布、麻生地、半練の生紬、など様々な織物に紅型を施した帯を扱っておりますのでその一例を紹介します。
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従来の綸子の生地、城間栄順氏の紅型。
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玉那覇有公氏の紅型、芭蕉布との贅沢な組み合わせ。
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能登上布に単色の藍型(えーがた)。
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夏物向けの張りのある生紬に知念初子氏の紅型。顔料の割に発色が大変よい。
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綸子の生地に宮城里子氏の紅型。
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古典柄とはちがう鮮烈で大胆な紅型。
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生紬に紅型工房べにきち謹製の紅型、単衣の久米島紬と
紅型の帯が一番似合うのは、紬の着物がベストです。それも単色の無地の紬、紬とのコントラストが映え見事に帯が主役となります。そして紅型の帯は多色使いですので、着物の色とどこかしら自然に調和してくれ、帯合わせに迷った時に重宝する存在です。
考え抜かれた伝統の色彩美は時がたっても古さを感じさせません。いつみてもハッとさせられる鮮烈色は飽きることなく、コーディネートを楽しみにさせてくれます。単なる型絵染ではない伝統の琉球びんがた(本来はひらがな表記)、紬をはじめとするおしゃれ着の良きパートナーです。
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展示会の1コマ、すべて人間国宝である玉那覇有公氏の作品。